梅毒はなぜ大流行?増えている理由と、今すぐできる対策
著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)
最近、梅毒が増えていると聞いて不安、なぜこんなに流行しているの?という相談が増えています。
梅毒は早期発見や早期治療で完治が目指せる一方、気づかないまま広がりやすい特徴があり、いまは注意が必要な感染症です。
まず知っておきたいこと
- 梅毒は近年、全国で大きく増えており、2022年以降は毎年1万件超の高水準が続いています。
- 症状が軽い、または一度消えたように見えるため、気づかれにくい感染症です。
- 性器だけでなく、口・のどでも感染するため、本人が気づかないまま広がることがあります。
- 早期発見・早期治療で対応しやすいため、不安なときは検査で確認することがいちばん確実です。
結論:梅毒が増えている背景は1つではなく、複数の要因が重なっています
- 症状が軽いまたは消えるため、感染に気づかずに人へうつしやすい
- オーラル(口)やキスなど、想像より感染経路が広い
- 再感染があり得る(治ったらもう安心、ではない)
- 性的ネットワーク(パートナーの重なり)で短期間に広がりやすい
症状、検査、治療の総合解説は、こちらにまとめています。
梅毒(症状・検査・治療の総合ページ)
梅毒はいまどのくらい増えている?(全国や東京)
梅毒はいま本当に多いの?という質問はよくあります。結論からいうと、いまも高い水準で流行が続いています。
全国:2010年代前半と比べて、かなり増えています
| 時期 | 届出数の目安 | 見方 |
|---|---|---|
| 2014年ごろ | 約1,700件 | 今よりかなり少ない時期でした |
| 2018年ごろ | 約7,000件 | 数年で大きく増えた時期です |
| 2022年以降 | 毎年1万件超 | 流行が一段上がった状態が続いています |
| 2024年 | 14,663人(暫定) | 高水準の流行が続いていることを示す数字です |
東京:都市部では特に高い水準になりやすいです
東京都でも高い水準が続いており、2024年は3,760件とされています。
人口が多く、人の移動や出会いの機会が多い地域では、感染が短期間で広がりやすくなります。新橋のように人の往来が多いエリアでは、最近よく聞く、不安になって調べたという方が増えるのも自然な流れです。
※ 年次の届出数は暫定値を含み、後日修正されることがあります。
増えているだけでなく、気づきにくいのが問題です
梅毒は、流行規模が大きいだけでなく、症状が軽い・一度消えたように見える・口やのどでもうつるため、本人が気づかないまま広がりやすいことが問題です。ここがなぜ大流行と言われるのかを理解するポイントです。
梅毒がなぜ大流行と言われるのか、よく挙がる背景
1)症状が軽い、または一度消えたように見えることがある
梅毒は、初期にしこり、ただれ、発疹などが出ても、痛みが少ないことがあります。さらに、治療しなくても一時的に症状が目立たなくなることがあります。
そのため、治ったかもしれないと思ってしまい、感染に気づかないまま人へうつしてしまうことがあります。
2)性器だけでなく、口やのどでも感染する
梅毒は、性器だけでなく、口、のど、くちびる周辺などでも感染します。オーラルセックスやキスが関わることもあり、本人が想像しているより感染経路が広いのが特徴です。
しかも、口やのどの症状は目立たないことがあり、気づかれにくいまま広がることがあります。
3)性的ネットワークの中で、短期間に連鎖しやすい
梅毒は感染力が高い時期があり、複数のパートナーのつながりの中で、短期間でも感染が広がりやすい感染症です。
特に都市部では、人の移動や出会いの機会が多く、感染が点ではなく面で広がりやすい環境になりやすいと考えられます。
4)いまの日本では、若い女性と幅広い年齢の男性に多く報告されています
公的な届出では、女性は20代、男性は20〜50代に多く報告されています。
つまり、特定の限られた人だけの問題というより、幅広い年代で注意が必要な感染症になっていることが、現在の流行の特徴です。
5)治っても再感染する
梅毒は、治療で治っても、再感染を防ぐ免疫が十分に得られるわけではありません。
以前治したことがあっても、同じような接触があれば再び感染することがあります。一度治療したからもう安心、とは言い切れない点も、流行が長引く理由のひとつです。
増えている理由を一言でいうと
梅毒が増えているのは、症状が気づかれにくいことと、口やのども含めた広い感染経路、そして性的ネットワークの中で連鎖しやすいことが重なっているためです。
不安なときにやるべきこと(いちばん確実な対策)
1)症状がなくても心当たりがあるなら検査
梅毒は無症状のこともあります。心当たりがある場合は、検査で早めに確認するのが安心です。
検査の種類(TPやRPR)や結果の見方は、総合ページで詳しく解説しています。
梅毒(症状・検査・治療の総合ページ)
梅毒の検査結果(TP・RPR)の見方|治癒判定の目安
2)パートナーも一緒に確認(ピンポン感染の予防)
片方だけ治療しても、相手が未治療だと再感染(いわゆるピンポン感染)につながることがあります。
状況に応じて、パートナーも検査や治療を検討することが重要です。
3)予防はコンドームと口の対策まで含めて考える
コンドームは重要な予防策ですが、梅毒は病変部が性器以外(口唇周囲など)にある場合など、完全に防ぎきれないケースもあります。
だからこそ、症状が疑わしい時期の接触を避け、定期検査を組み合わせることが現実的です。
今できる、いちばん現実的な対策
- 症状がなくても、心当たりがあるなら検査で確認する
- 片方だけではなく、必要に応じてパートナーも一緒に確認する
- コンドームだけでなく、口やのども含めてリスクを考える
- 以前治したことがある場合でも、再感染を前提に考える
当院の梅毒検査と治療について
ふくちクリニック新橋では、梅毒の検査と治療に対応しています。
| 項目 | 料金 | 目安 |
|---|---|---|
| 梅毒検査 | 5,500円(税込) | 即日検査:最短20分/精密検査:1〜2日 |
| 梅毒治療 | 18,000円(税込) | 4週間 |
※ 結果日数は、混雑状況や祝日をはさむ場合などで前後することがあります。
よくあるご質問
Q1. 梅毒はなぜ増えているのですか?
A. 梅毒が増えている背景は、1つではありません。
症状が軽い、または一度目立たなくなることがあるため気づかれにくいこと、口やのどなど見えにくい部位でも感染しうること、複数のパートナーのつながりの中で短期間に広がりやすいこと、治療しても再感染することなどが重なり、流行が続きやすくなっています。
Q2. いまはどのくらい流行しているのですか?
A. 梅毒は近年増加が続いており、2024年は全国で14,663人(暫定)と報告されています。
東京都でも高い水準が続いており、2024年は3,760件とされています。以前よりも身近な感染症として考える必要があります。
Q3. 若い人だけの病気ですか?
A. いいえ。女性は20代に多く、男性は20〜50代と幅広い年代で報告されています。
「特定の人だけの問題」ではなく、幅広い年代で注意が必要な感染症です。
Q4. オーラルセックスでも梅毒はうつりますか?
A. はい。梅毒は性器どうしの接触だけでなく、オーラルセックスでも感染することがあります。
口やのどに症状が出ることもあり、見逃されやすいため注意が必要です。
Q5. キスでも梅毒はうつりますか?
A. 可能性があります。特に、くちびる周辺や口の中に梅毒の病変がある場合は、キスで感染することがあります。
心当たりがある場合は、口の症状がなくても相談をご検討ください。
Q6. 症状がないのに梅毒にかかっていることはありますか?
A. はい。無症状でも感染している可能性があります。
また、初期のしこりや発疹が軽かったり、一度目立たなくなったりして、気づかないまま経過することもあります。
Q7. コンドームで100%防げますか?
A. いいえ。コンドームで感染リスクは下げられますが、病変がコンドームで覆われない部位にある場合は感染することがあります。
そのため、コンドームだけでなく、定期検査や早めの受診も大切です。
Q8. 梅毒は放っておくと自然に治りますか?
A. いいえ。症状が一時的に目立たなくなることはありますが、自然に治ったとは言い切れません。
放置すると体の中で感染が続き、後から別の症状につながることがあります。
Q9. 心当たりがあれば、すぐ検査した方がいいですか?
A. はい。心当たりがある場合は、まず受診して相談するのがおすすめです。
ただし、曝露直後は検査の種類によっては陰性でも完全には否定しにくい時期があります。まず受診して、受けるべき検査と適切な時期、必要なら再検査の目安を確認しましょう。症状がある場合は、時期を待たずに受診をご検討ください。
Q10. 梅毒は検査と治療で対応できますか?
A. はい。梅毒は検査で確認し、適切な治療で対応できる感染症です。
早めに見つけるほど治療もしやすいため、心当たりや症状があれば早めの受診が大切です。
Q11. 一度治療すれば、もうかからないですか?
A. いいえ。梅毒は治療しても、再感染することがあります。
再感染を防ぐためには、パートナーの検査・治療と、行動の見直しも大切です。
Q12. 症状が消えたら自然に治ったということですか?
A. いいえ。梅毒は、しこりや発疹が一時的に目立たなくなっても、感染が続いていることがあります。
自己判断で安心せず、検査で確認することが大切です。
まとめ
- 梅毒はここ数年、報告数が過去最多クラスで推移
- 無症状または見えにくい部位があり、気づかれにくい
- オーラルでも感染しうる、再感染もある
- 対策は正しい予防、必要な検査、パートナー対応
不安がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
参考文献や出典
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査(梅毒)四半期報告(2024Q4/2025Q4)
- 厚生労働省:梅毒に関するQ&A(最終更新日:2022年11月22日)
- 東京都性感染症ナビ:都内の梅毒報告数(2024年)
- 厚生労働省:日本の性感染症の発生動向(審議会資料)
(最新の知見に基づく最終更新日:2026年4月7日)

