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エムポックス(mpox、旧称サル痘)

著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)

エムポックス(mpox)とは

エムポックス(mpox)とは、サル痘ウイルスの感染によって発症するウイルス感染症です。

天然痘に似た特徴を持つウイルスであり、発疹や発熱などの症状を引き起こします

感染経路は、接触感染や飛沫感染によるものとされています。

感染者の多くは男性で、性的接触による感染例も多く報告されています。

とはいえ誰でも感染しうる感染症ともいえます。

そのため、性感染症の側面も併せ持つ感染症といえます。

サル痘は、1970年に初めて報告されて以降、主にアフリカの一部地域で発生していました。

しかし近年では、イギリス・スペイン・ポルトガルなどを中心に世界的な流行が確認されています。

また、2022年7月には日本でも初めて感染者が報告されました。

サル痘からエムポックスへの名称変更は、人種差別につながる偏見を防ぎ、動物福祉の観点にも配慮するためです。

世界保健機関(WHO)が2022年11月にmpoxへの変更を推奨したことに伴い、日本でも感染症法上の名称が2023年5月に変更されました。

サル痘ウイルス粒子の電子顕微鏡の画像
出典:CDC

感染経路は

エムポックス(mpox)の主な感染経路は、以下のとおりです。

・感染者の体液や皮膚病変部位への直接的な接触による感染

・感染者の飛沫(咳やくしゃみなど)を浴びることによる飛沫感染

・サル痘ウイルスに感染した動物(主にげっ歯類)との接触による感染

エムポックス(mpox)は、天然痘に比べて感染力が弱く、重症化の頻度も低い傾向にあります。

性的接触(性行為)との関係、誤解されやすいポイント

mpoxは、主に皮膚や粘膜の接触で感染します。近年は特に、性的接触を含む濃厚な皮膚接触に関連した報告が多くみられます。

  • 性器や肛門周囲に発疹が出ることもあります(痛みや違和感を伴う場合があります)。
  • キス(口と口、口と皮膚)など、密な接触でも感染し得ます。
  • コンドームはリスク低減に役立つ可能性がありますが、皮膚接触を完全には防げません

心当たりのある接触があった場合は、約21日間(3週間)は体調変化に注意し、発熱や発疹など症状が出たら早めにご相談ください。

症状とは

エムポックス(mpox)の潜伏期間は、感染してから多くは1〜2週間程度ですが、1〜21日程度の幅がありますとされています。

初期症状としては、まず発熱がみられ、その後に発疹が出現します

発疹は全身に広がる場合が多いものの、性器や肛門周囲のみに限局してあらわれることもあります。

その後、天然痘に似た水疱が形成され、徐々にかさぶた(痂皮)となって皮疹が治癒へ向かいます。

なお、症状だけでは水痘(水ぼうそう)や梅毒との鑑別が難しい場合もあります。

梅毒

右腕と右脇腹に水疱の症状
出典:CDC

エムポックス(mpox、旧称サル痘)の検査や診断について

エムポックス(mpox)は、症状(発疹の見た目や経過)だけで確定が難しいことがあるため、疑わしい場合は検査で判断します。 一般的には、水疱(みずぶくれ)や膿疱(うみを含む発疹)の内容液や、痂皮(かさぶた)などを採取し、PCR検査でウイルス遺伝子を確認します。

  • 発疹に加え発熱、リンパ節の腫れ、強い痛みなどがある場合は、早めにご相談ください。
  • 受診の際は、事前に医療機関へ連絡し、発疹部位はガーゼや衣服で覆い、マスク着用のうえお越しください。
  • 状況により、保健所や専門の医療機関をご案内する場合があります。

感染力はいつまで?自宅での過ごし方(隔離の目安)

感染性は、症状の出現から、皮疹(発疹)が治癒して痂皮がすべて脱落し、新しい皮膚が形成され、粘膜病変も治癒するまで続くと考えられています。 発疹は個人差がありますが、2〜4週間程度続くことがあります。

ご自宅では、次の点を意識してお過ごしください。

  • 同居家族との密な接触を避ける(抱擁・同じ寝具で寝る等は控える)
  • 寝具、タオル、衣類、食器の共用を避ける
  • 発疹部位はできるだけ覆う(長袖やガーゼ等)
  • 手洗いを徹底する(石けんと流水)
  • 触れやすい場所(ドアノブ等)は清拭や消毒する
  • 体調が悪いときは無理をせず、水分摂取と休養を優先する

治療について(対症療法が基本です)

治療は、解熱鎮痛、皮膚のケア、二次感染予防などの対症療法が基本となります。 症状や基礎疾患によっては、抗ウイルス薬(テコビリマット など)が検討されることもありますが、 提供体制や適応は状況により異なります。

国内の薬剤運用は状況により変わるため最新情報は厚労省等を参照して下さい。

当院では、症状や経過を伺ったうえで、必要に応じて適切な医療機関や相談先(保健所等)をご案内いたします。

濃厚接触の目安と、接触後にできること

濃厚接触の可能性がある場合は、以下を目安に行動してください。

  • 21日間(3週間)は体調の変化(発熱、倦怠感、リンパ節腫脹、発疹など)に注意する
  • 症状が出た場合は、外出を控え、事前連絡のうえ医療機関へ相談する
  • 同居者やパートナーがいる場合は、発疹が治癒するまで密な皮膚接触や性行為を控える

手の甲に発疹の症状
出典:CDC

重症化しやすい方、早めに相談すべき症状

多くは自然に軽快することもありますが、体調や背景によって重症化する可能性があります。

重症化リスクが高いとされる方

  • 妊娠中の方
  • 小児
  • 免疫が低下している方(例:免疫抑制薬内服中、未治療HIVなど)

次の症状がある場合は早めに医療機関へ

  • 強い痛み(特に肛門周囲痛・直腸痛、排尿時痛など)
  • 目の症状(痛み、充血、見え方の異常)
  • のどの強い痛みや嚥下困難、脱水(飲めない・食べられない)
  • 呼吸苦、意識が遠のく、強い全身状態の悪化

エムポックス(mpox)よくある質問(FAQ)

Q1. 潜伏期間はどれくらいですか?

A. 一般的には1〜21日とされます(多くは1〜2週間程度)。接触から日数が経っていても、症状が出るまでは体調の変化に注意しましょう。

Q2. どんな発疹が出ますか?かゆいですか?痛いですか?

A. 発疹は、斑点~盛り上がり~水疱~膿疱~痂皮(かさぶた)という経過をたどることがあります。部位は顔、四肢、手のひらや足の裏、性器・肛門周囲などさまざまです。かゆみよりも痛みが目立つ方もいます。

Q3. 空気感染しますか?

A. mpoxは主に皮膚や粘膜の接触で感染します。近距離での長時間の接触などでは、飛沫や呼吸器分泌物を介した感染が問題になることもありますが、一般的に麻疹のような強い空気感染とは異なります。まずは密な接触を避け、発疹部位を覆うことが大切です。

Q4. 性行為がなくても感染しますか?

A. はい。性行為がなくても、発疹のある部位との皮膚接触やキスなど、密な接触があれば感染し得ます。日常生活では、寝具・タオルなどの共用を避け、手洗いを徹底しましょう。

Q5. 仕事(学校)は何日休む必要がありますか?

A. 感染性は、皮疹が治癒して痂皮がすべて脱落し、新しい皮膚が形成されるまで続くと考えられています。発疹が2〜4週間程度続くこともあるため、具体的な復帰時期は症状によって異なります。個別にご相談ください。

Q6. 検査はどこで受けられますか?

A. 検査の受け方や相談先は地域や状況により変わることがあります。発疹があり疑わしい場合は、まずは医療機関へ事前連絡のうえ受診してください。必要に応じて、保健所や専門医療機関のご案内となる場合があります。

参考リンク

厚生労働省(エムポックス)

国立感染症研究所(詳細版)

WHO Q&A

(最新の知見に基づく最終更新日:2025年11月26日)

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