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B型肝炎

著者:院長 福地裕三

B型肝炎とは

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが肝臓に感染し、肝機能障害を引き起こす感染症です。

成人の多くは、自己免疫の働きによって一過性の感染で治癒しますが、一部の方はウイルスが体内に残り、「キャリア」と呼ばれる持続感染の状態になります。

持続感染が続くと、肝硬変や肝がんを発症することがあります。

B型肝炎は、ワクチンによって予防が可能な感染症です。

B型肝炎ウイルスの透過型電子顕微鏡の画像
出典:CDC

感染経路

B型肝炎ウイルスは、日常生活において入浴や食器の共有、水や食事を介して感染することはありません。

感染の可能性がある主な経路は、以下の3つです。

性行為による感染

B型肝炎ウイルスは、血液・精液・腟分泌液・唾液・尿などに含まれています。

性行為(オーラルセックスや肛門性交を含む)によって感染するリスクがあります。

ただし、健康な皮膚から感染することはありません。

血液による感染

針刺し事故、薬物使用による注射器の共用、タトゥーなどでの針の使い回しなどが感染原因となります。

血液が傷口や粘膜に接触することで感染する可能性があります。

母子感染(垂直感染)

出産時に母親から子どもへ感染することを垂直感染といいます。

現在では、母子感染予防策が確立されており、感染のほとんどは防止できるようになっています。

症状と経過について

B型肝炎は、無症状のことも多いですが、症状が現れる場合には、倦怠感・食欲不振・発熱・黄疸などがみられます。

まれに劇症化し、命に関わることもあります。

経過としては、一過性感染(短期間で治る一時的な感染)と、持続感染(ウイルスが体内に残る状態)の2つに分けられます。

持続感染の状態をキャリアと呼びます。

その後の経過はさまざまで、数か月で自然に治癒する場合もあれば、症状が再燃する場合もあります。

重症化すると、肝硬変や肝がんを引き起こすことがあります。

B型肝炎の採血のイメージ像

検査について

B型肝炎の検査は、抗原(ウイルスそのもの)を調べる検査です。

これにより、現在ウイルスに感染しているかどうかを確認することができます。

検査には、即日検査とPCR法(NAT)の2種類があります。

即日検査

即日検査は、感染の可能性がある機会から2か月以上経過していれば実施可能です。

PCR法(NAT)

PCR法(NAT)は、感染の可能性がある機会から35日以上経過していれば検査が可能で、結果が出るまで数日かかります。

抗体検査

ワクチンを接種された方は、抗体検査によって抗体価を調べることができます。

十分な抗体価があれば、B型肝炎ウイルスの感染を予防することが可能です。

ただし、ワクチンを接種しても十分な抗体がつかない場合や、接種から長期間経過すると抗体価が低下する場合があります。

そのため、心配な方は一度抗体検査で抗体価を確認しておくと安心です。

項目 料金 採取部
B型肝炎 即日 5,500円 血液
B型肝炎 NAT検査 7,700円 血液
B型肝炎 抗体検査 5,500円 血液
B型肝炎 ジェノタイプ 7,700円 血液

B型肝炎訴訟の検査について

B型肝炎 ジェノタイプとは

B型肝炎ウイルスには、A〜Hまでの8つの遺伝子型(ジェノタイプ)があります。

ジェノタイプによって、病状の進行の速さや治療への反応性が異なることが知られています。

また、日本を含むアジア地域では、B型およびC型のジェノタイプが多いといわれています。

このジェノタイプ検査は、B型肝炎訴訟の際に提出書類として求められることが多い項目でもあります。

治療について

当院では、B型肝炎の治療を行っている医療機関をご紹介いたします。

肝機能が著しく低下している場合や、黄疸などの症状が強い場合には、入院治療が必要となることもあります。

急性肝炎が慢性化した場合には、インターフェロンや逆転写酵素阻害剤などを使用して治療を行います。

予防について

コンドームの使用により、感染のリスクを低下させることができます。

また、B型肝炎はワクチンの接種によって予防が可能な感染症です

通常、半年かけて3回のワクチン接種を行い、抗体を獲得します。

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