ヘルペス
著者:院長 福地裕三
ヘルペスとは
ヘルペスは、性的接触などにより陰部や口唇に感染して発症する病気です。
原因となる単純ヘルペスウイルス(HSV)には1型と2型があり、いずれも陰部や口唇に感染します。
ヘルペスに感染し症状が出ると、浅い潰瘍や水疱が形成されます。
陰部に感染した場合、ウイルスは主に腰仙髄神経節などに潜伏感染します。
潜伏していたウイルスは、何らかの刺激によって再び再活性化し、皮膚や粘膜に病変を形成します。
一般的に、初めてヘルペスに感染した際には、症状が広範囲かつ強く現れる傾向があります。
また、足の付け根のリンパ節が腫れたり、発熱を伴うこともあります。
一方、再発の場合は、初感染に比べて症状が軽く済むことが多いです。
単純ヘルペスウイルスの透過型電子顕微鏡画像
情報元:CDC
症状
男性の症状
感染の機会から2〜10日間の潜伏期間を経て、性器に病変が出現します。
性器のかゆみや違和感を伴い、複数の水疱が現れます。
これらの水疱は次第に破れて痛みを伴う浅い潰瘍となり、発症からおよそ1週間前後が最も症状が強くなります。
足の付け根のリンパ節が腫れたり、発熱を伴うこともあります。
また、肛門性交によって感染した場合には、肛門周囲や直腸の粘膜に病変が出現します。
女性の症状
感染の機会から2〜10日間の潜伏期間を経て、比較的突然に発症します。
外陰部から肛門の近くにかけて、浅い潰瘍や水疱が多発します。
痛みが強く、排尿が困難になったり、歩行がつらくなることもあります。
また、足の付け根のリンパ節が腫れ、押すと痛みを感じることもあります。
再発について
ヘルペス患者の約6〜7割は、再発を経験するといわれています。
再発時には、初感染とほぼ同じ部位に病変が現れます。
症状は初感染のときよりも軽く、治癒までの期間も短い傾向があります。
再発の前には、陰部の違和感やピリピリとした痛みなどの前兆を感じることもあります。
再発の頻度には個人差があり、頻繁に再発する人もいれば、ほとんど再発しない人もいます。
検査
ヘルペスの検査には、迅速検査キットや血清抗体検査などがあります。
迅速検査キット
迅速検査キット(イムノクロマトグラフィー法)は、病変部を綿棒などで拭って検査を行います。
ただし、症状が乏しい場合や病変部がはっきりしない場合には、検査が難しいこともあります。
検査結果はおよそ15〜20分ほどで判明します。
比較的精度の高い検査ですが、まれに偽陰性となることもあります。
血清抗体検査
血清抗体検査は、血液中に存在するヘルペスウイルスに対する抗体を調べる検査です。
ただし、現在感染しているのか、過去の感染による抗体なのかを判別することは困難です。
また、水ぼうそうや帯状疱疹ウイルスなどの既往によって、まれに偽陽性となることもあります。
型別抗体検査
型別抗体検査は、血液中の抗体を調べることで行う検査です。
この検査では、感染しているヘルペスウイルスが1型(HSV-1)か2型(HSV-2)かをそれぞれ判別できます。
ただし、結果が出るまでに時間がかかり、2週間程度を要します。
免疫グロブリン検査(EIA法)
免疫グロブリン検査(EIA法)は、IgMとIgGという抗体を検出する検査です。
他の抗体検査と比べて感度が高い検査とされています。
IgG抗体は、一度感染すると体内に長く残り続ける抗体です。
一方、IgM抗体は、一般的に初感染の時期に検出される抗体です。
| 項目 | 料金 | 採取部 |
|---|---|---|
| ヘルペス 即日 | 5,500円 | 性器 |
| ヘルペス 抗体 | 5,500円 | 血液 |
| ヘルペス 1型抗体 | 5,500円 | 血液 |
| ヘルペス 2型抗体 | 5,500円 | 血液 |
| ヘルペス EIA法 | 11,000円 | 血液 |
治療
抗ヘルペスウイルス薬によってウイルスの増殖を抑制し、治癒までの期間を短縮させます。
初感染の場合
抗ヘルペスウイルス薬を5日間服用します。
当院では実施していませんが、重症例では注射薬を使用することもあります。
抗ヘルペスウイルス薬は、症状の軽減や治癒促進には有効ですが、ウイルスを体内から完全に排除することはできません。
そのため、一度ヘルペスウイルスに感染すると、神経節に潜伏感染した状態となり、再発のリスクは常に残ります。
再発の場合
抗ヘルペスウイルス薬を5日間服用します。
できるだけ早めに内服を開始することで、病変の出現や症状を最小限に抑えることができます。
再発を繰り返す場合は、あらかじめ薬を携帯しておくことをおすすめします。
| 項目 | 料金 | 用法 |
|---|---|---|
| ヘルペス | 9,000円 | 5日間分 |
※ 送料無料、指定住所へ郵送
予防について
ヘルペスウイルスに感染すると、体内から完全に排除することはできないため、感染予防が非常に重要です。
コンドームの使用によって感染リスクを低下させることはできますが、それでも完全に防ぐことはできません。
症状があるときは性的接触を控えるなど、感染を広げないよう注意が必要です。
また、すでに感染している場合には、再発の予防が大切です。
免疫力の低下を防ぐために、十分な睡眠や栄養の確保やストレスの軽減を心がけ、体調管理に努めましょう。


