C型肝炎
著者:院長 福地裕三(日本肝臓学会ガイドライン準拠)
C型肝炎が心配な方へ
C型肝炎は、血液を介して感染するウイルス性肝炎です。日常生活でうつることは通常ありませんが、 針刺し事故、注射器の共用、タトゥーやピアスの衛生不良、出血を伴う性行為などでは感染リスクがあります。
まず知っておきたいポイント
・性行為での感染はゼロではありませんが、主に血液曝露を伴う条件でリスクが上がります。
・HCV抗体(即日)は、当院では感染機会から3か月以降を目安にご案内しています。
・HCV RNA(NAT)は、より早期の確認に用い、当院では感染機会から約3〜4週(24日)以降を目安にご案内しています。
・現在は内服治療で治癒を目指せる時代で、多くの方が8〜12週間の治療対象となります。
| 検査項目 | わかること | 検査時期の目安 | 料金(税込) |
|---|---|---|---|
| C型肝炎 即日 (HCV抗体) |
過去または現在の感染の可能性を確認します。 | 感染機会から3か月以降 | 5,500円 |
| C型肝炎 NAT検査 (HCV RNA) |
現在ウイルスが体内にいるかを確認します。 | 感染機会から約3〜4週(24日)以降 | 7,700円 |
不安な機会があった方、肝機能異常を指摘された方、出血を伴う性行為や血液曝露があった方は、 時期に合った検査選びが大切です。どの検査を受ければよいかわからない場合も、お気軽にご相談ください。
C型肝炎とは
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染し、肝機能障害を引き起こす感染症です。
症状は比較的軽い場合が多いものの、感染者のおよそ7割が慢性化するといわれています。
そのため、治療を受けずに放置すると肝硬変や肝がんへ進行することがあります。
また、B型肝炎とは異なり、C型肝炎には予防のためのワクチンがありません。
感染経路
日常生活の中で、入浴・食器の共用・水や食事を介して感染することはありません。
感染の可能性がある主な経路は、以下の3つです。
出典:国立感染症研究所
性行為による感染
C型肝炎は性行為によって感染する可能性もありますが、一般的には頻度は高くありません。
ただし、血液への曝露を伴う状況、肛門性交、HIVや他の性感染症の合併、多数のパートナーがいる場合などでは、感染リスクが高まるとされています。
性行為による感染はゼロではありませんが、主に血液曝露を伴う条件でリスクが上昇すると考えられています。
血液による感染
針刺し事故、薬物使用による注射器の回し打ち、タトゥーでの針の使い回しなどによって感染することがあります。
これらは、傷口や粘膜を通じて血液が体内に入ることにより感染が起こります。
母子感染(妊娠、出産、授乳)
出産時に母親から子どもへ感染することを、母子感染(垂直感染)といいます。 母子感染は母体のHCV RNA(ウイルス量)が検出される場合に起こり得るとされ、 報告としてはおおむね6〜7%程度が目安です。
- 分娩方法は、C型肝炎のみを理由に帝王切開を選ぶことは推奨されていません。
- 授乳自体で感染が増えることはないとされていますが、乳首の亀裂や出血がある場合は注意が必要です。
※妊娠や出産に関する判断は個別性が高いため、状況に応じて専門医療機関にご相談ください。
性行為での感染はゼロではないが多くは高くない、ただし条件で上がります
C型肝炎は主に血液を介して感染します。性行為での感染は起こり得ますが、一般には血液曝露(出血)を伴う条件でリスクが上がるとされています。
- 出血を伴いやすい性行為(肛門性交など)
- 生理中の性行為(血液に触れる可能性がある)
- 粘膜の傷、他の性感染症の合併、HIV感染がある場合(特にMSMでは報告が増加しています)
不安がある場合は、コンドームの正しい使用と、適切な時期での検査をご相談ください。
症状と経過について
C型肝炎は、症状が軽いことが多い感染症です。
症状が現れる場合には、倦怠感・食欲不振・黄疸などがみられます。
症状が軽いために、自覚されないまま放置されてしまうことも少なくありません。
C型肝炎が劇症化することはまれですが、感染者の約3割は自然経過で回復するといわれています。
一方で、約7割は慢性化し、長い年月をかけて肝硬変や肝がんへ進行する可能性があります。

このような方はC型肝炎の検査をご検討ください
- 過去に輸血や手術で血液製剤を使用したことがある
- タトゥー、ピアス(医療機関以外)、針治療などの経験がある
- 注射器の共用、針刺し事故など血液曝露の可能性がある
- 肝機能(AST、ALT)異常を指摘された
- 出血を伴う性行為があり不安がある(肛門性交や生理中など)
検査について
C型肝炎の検査には、即日検査とPCR法の2種類があります。
即日検査では、抗体(ウイルスに対する免疫反応)を調べます。
一方、PCR法では、HCV RNA(核酸)ウイルスの遺伝子を検出します。
即日検査は抗体検査のため、感染初期では陰性となる可能性があります。
そのため当院では、感染機会から3か月以降を目安に検査をご案内しています。
PCR法では、感染の機会から文献上はRNAが1〜2週間で検出される可能性があるとされています。
ただし、当院では検査の精度を考慮し、感染機会から24日以降での検査をご案内しております。
なお、PCR法は結果が出るまでに数日を要します。
検査のタイミングと、結果の見方
当院では、HCV抗体(即日)とHCV RNA(NAT、いわゆるPCRに相当)をご案内しています。 目的(過去の感染も含めて確認したい、早期に確認したい、今も感染しているか知りたい)により選び方が変わります。
検査はいつから受けられますか?
- HCV抗体(即日):感染直後は陰性になり得るため、当院では感染機会から3か月以降を目安にご案内します。
- HCV RNA(NAT):より早期の確認や「現在感染しているか」の判定に用います。一般に早期から検出され得ますが、当院では検査精度を踏まえ、感染機会から約3〜4週(24日)以降を目安にご案内します(結果は数日要します)。
抗体陽性、今も感染していますか?
抗体陽性、過去に感染した、または現在感染している可能性を示します。 いま体内にウイルスがいるか(活動性があるか)の確定は、HCV RNA(NAT)で判断します。
陰性でも不安が残る場合
検査時期が早い場合は、陰性でも確定できないことがあります。感染機会の内容や時期に応じて、再検査のタイミングをご案内します。
料金表
C型肝炎が心配な場合は、感染の可能性があった時期に応じて、適した検査を選ぶことが大切です。当院では、即日で確認できるHCV抗体検査と、現在の感染状態を確認するHCV RNA(NAT)検査をご案内しています。以下に、各検査の料金をまとめています。
| 項目 | 料金(税込) | 採取部位 | 補足 |
|---|---|---|---|
| C型肝炎 即日 (HCV抗体) |
5,500円 | 血液 | 過去または現在の感染の可能性を確認する検査です。20分で判明します。 |
| C型肝炎 NAT検査 (HCV RNA) |
7,700円 | 血液 | 現在ウイルスが体内にいるかを確認する検査です。結果は3,4日かかります。 |
※ 検査時期が早すぎると、正確に判定できないことがあります。
※ 感染機会の内容や時期によって、適した検査項目が異なります。ご不安な方はご相談ください。
検査時期や検査項目がわからない場合もご相談いただけます。
治療について(現在は内服で治癒を目指せる時代です)
現在のC型肝炎治療は、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)による内服が中心で、 多くの方で8〜12週間の内服治療により95%以上で治癒(ウイルス排除)が期待できます。
治療でウイルスが消えても、肝硬変や線維化進行例では肝がんフォローが必要です。
当院では、検査でC型肝炎が疑われた場合、確定診断(HCV RNAなど)を行い、 治療が必要な方は肝臓専門の医療機関へ速やかにご紹介いたします。 肝機能が著しく低下している場合や、黄疸など症状が強い場合には入院治療が必要となることがあります。
※治療後も再感染は起こり得ます(ワクチンはありません)。血液曝露の回避と、必要に応じた定期検査が大切です。
日常生活での感染予防(血液に触れないことが基本)
日常生活(握手、抱擁、食器の共用、入浴など)で感染することはありません。 感染予防のためには、他人の血液に触れないことが重要です。
- カミソリ、歯ブラシ、爪切りなど血液が付着し得る物は共用しない
- タトゥー、ピアス、針治療などは、衛生管理の整った施設を選ぶ
- 針刺しや注射器の共用(回し打ち)など、血液曝露のリスクは避ける
よくあるご質問
Q. 性行為で感染しますか?
A. ゼロではありませんが、一般的には頻度は高くありません。
ただし、出血を伴う性行為、肛門性交、HIVや他の性感染症の合併、多数のパートナーがいる場合などでは、感染リスクが上がるとされています。
Q. 検査はいつから受けられますか?
A. 当院では、HCV抗体(即日)は感染機会から3か月以降、HCV RNA(NAT)は感染機会から約3〜4週(24日)以降を目安にご案内しています。どちらが適しているかは、感染機会の内容と時期によって変わります。
Q. 抗体陽性、今も感染していますか?
A. 抗体陽性だけでは、今も感染しているとは限りません。
抗体陽性は、過去の感染または現在の感染の可能性を示します。現在ウイルスが体内にいるかどうかは、HCV RNA(NAT)で判断します。
Q. 妊娠、出産、授乳で子どもにうつりますか?
A. 母子感染は起こり得ます。目安としては6〜7%程度とされています。
授乳そのもので感染が増えることはないとされていますが、乳首に亀裂や出血がある場合は注意が必要です。分娩方法や授乳方法は、状況に応じて専門医療機関と相談することが大切です。
Q. C型肝炎は治りますか?治療期間はどのくらいですか?
A. はい。現在は内服治療(DAA)で治癒を目指せる時代で、多くの方は8〜12週間の治療で95%以上の治癒が期待できます。
当院では、確定診断後に必要な方を専門医療機関へご紹介しています。
Q. 治療後に再感染しますか?
A. 再感染は起こり得ます。
C型肝炎にはワクチンがありません。治療でウイルスが消えても、再び血液曝露があれば感染する可能性があるため、予防と必要に応じた再検査が大切です。
Q. C型肝炎は自然に治ることがありますか?
A. あります。一部の方では自然にウイルスが排除されますが、多くは慢性化するため、自己判断せず検査で確認することが大切です。
不安な方は、一人で悩まずご相談ください
C型肝炎は、感染機会の内容や検査を受ける時期によって、選ぶべき検査が変わります。 そのため、自己判断で早すぎる時期に検査を受けるよりも、状況に合ったタイミングで確認することが大切です。
当院では、C型肝炎が心配な方へ、検査時期や検査項目のご案内を行っています。 ご不安な機会があった方や、肝機能異常を指摘された方も、まずはお気軽にご相談ください。
検査時期や検査内容がわからない場合もご相談いただけます。
※ 本ページは、公的情報やガイドラインに基づき適宜更新しています。
(最新の知見に基づく最終更新日:2026年3月31日)

