トリコモナス
著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)
トリコモナスとは
トリコモナスは、トリコモナス原虫によって感染する性感染症(STD)の一つです。
古くから知られている性感染症の一つであり、まれに再発を繰り返す、または治療が難航することもあります。
感染者の年齢層は幅広く、中高年層にも少なくありません。
主な感染経路は性行為(性器同士の接触)です。
日常生活での感染が疑われる報告もありますが、頻度は高くありません(下着やタオルの共用を避ける等の基本的な衛生で十分です)。
ただし、性交経験のない女性や幼児に感染が見られることもあり、これは下着・タオル・便器・浴槽などを介した間接的な感染(接触感染)によるものと考えられています。
トリコモナスの顕微鏡写真
情報元:CDC
症状について
トリコモナス感染症の潜伏期間は数日〜数週間(目安:5〜28日)で、症状が出ないまま経過したり、後から出たりすることもあります。
男性の場合
尿道に違和感やかゆみを感じたり、膿が見られるなど、尿道炎の症状を伴うことがあります。
一方で、無症状で経過することも少なくありません。
また、前立腺に感染して前立腺炎を引き起こすこともあります。
トリコモナスは本来、前立腺や精嚢に感染しますが、尿道に侵入することで尿道炎の症状を引き起こす場合があります。
女性の場合
男性に比べ、女性の症状は非常に多様です。
主な症状としては、泡状で悪臭のあるおりものの増加、外陰部や膣のかゆみや刺激感などが挙げられます。
ただし無症状の方も多く、報告では7割程度が症状に乏しいともされます。
トリコモナスは、膣内の環境を乱すことで細菌が増殖しやすい状態を引き起こします。
その結果、嫌気性菌や大腸菌などが増殖し、悪臭の原因となることがあります。
トリコモナスの治療を行うことで膣内環境が整い、症状が改善することが多いです。
ただし、場合によっては細菌性膣炎の治療を併せて行う必要がある場合もあります。
トリコモナスの症状
こんなときはトリコモナス検査をご検討ください
トリコモナスは、クラミジアや淋病など他の性感染症と症状が似ていたり、症状がはっきりしないまま経過することも多い感染症です。
次のような場合は、一度トリコモナス検査をご検討ください。
- 性行為のあとから、軽い尿道の違和感、かゆみ、にぶい痛みが続いている
- クラミジア・淋病の検査は陰性だったが、尿道炎のような症状が残っている
- 泡立つようなおりものや悪臭のあるおりものが増えている
- カンジダと診断され治療したが、かゆみやおりものがなかなか良くならない
- パートナーがトリコモナス陽性とわかり、自分も感染していないか心配
- 過去にトリコモナス治療をしたことがあり、同じような症状が再び出てきた
- 長引く前立腺炎や膣炎を指摘されている
気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、早めの検査をおすすめします。
検査について
検査の種類
トリコモナス感染症の診断には、主に顕微鏡検査、培養検査、DNA検査の3種類があります。
顕微鏡検査
顕微鏡で動き回るトリコモナス原虫が観察されれば、診断が確定します。
原虫が確認できればその場で診断が可能ですが、原虫の数が少ない場合などは見落とされることもあります。
培養検査
トリコモナス専用の培地で原虫を培養し、感染の有無を調べる検査です。
検査結果が出るまでに、数日から約1週間程度かかります。
DNA検査
上記の2つの検査と比較して、精度が非常に高い検査方法です。
当院では、高精度なDNA検査を実施しており、検査結果はおよそ2〜4日で判明します。
検査の方法
男性の場合
尿を採取して検査を行います。
女性の場合
長めの綿棒のような器具を使用し、膣から分泌物を採取して検査を行います。
なお、生理中は検査ができないため、生理終了後に検査を行います。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| トリコモナス 尿道 | 5,500円 |
| トリコモナス 膣 | 5,500円 |
治療について
当院では主に、メトロニダゾール(5-ニトロイミダゾール系)の内服で治療します(標準的には1日2回 10日間)。
女性で治りにくい難治性の場合には、膣錠を併用して治療を行うこともあります。
治療中は、飲酒を控えることが望ましいです。
これは、服用中にアルコールを摂取するとアルコールの分解能力が低下し、悪酔いや吐き気などの症状が起こりやすくなるためです。
| 項目 | 料金 | 用法 |
|---|---|---|
| トリコモナス | 9,000円 | 10日間内服 |
※ 送料無料、指定住所へ郵送
トリコモナスが治りにくい・再発しやすいケース
トリコモナスは、適切な抗原虫薬を、決められた期間しっかり内服すれば、多くの方は1回の治療で改善が期待できる感染症です。
一方で、次のような場合には治りにくい、何度も再発すると感じられることがあります。
- 薬の飲み忘れが多い、自己判断で内服を途中で中止してしまった
- 難治性で本来は膣錠などの局所治療の併用が望ましいケースなのに、膣内の治療が十分でない
- 前立腺など、膣や尿道以外の部位に原虫が残っている
- ご本人だけ治療を受け、パートナーの検査や治療が行われていない(ピンポン感染)
- 他の性感染症を同時に持っているため、炎症が長引いてしまっている
うまく治らないと感じる場合も、これまでの検査結果や治療歴を確認しながら、薬の選択や治療期間を柔軟に調整していくことで、改善が期待できることが多いです。
何度か治療したけれど良くならないという方も、一度ご相談ください。
予防について
パートナーがいる場合は、パートナーも検査を受け、陽性であれば治療が必要です。
治療を行わないと、いわゆるピンポン感染と呼ばれる、お互いに再感染を繰り返す可能性があります。
感染を完全に防ぐことは難しいですが、コンドームを使用することで感染リスクを低下させることができます。
また、感染のリスクが高い相手との性行為を避けることも、感染予防に有効です。
さらに、不衛生なトイレや浴場などから感染する可能性も指摘されていますので、衛生管理にも注意が必要です。
当院でのトリコモナス検査〜治療の流れ
- 事前Web問診〜ご来院
事前Web問診から症状や心当たりのあるタイミング、ご希望の検査などをお送りいただくと、当日のご案内がスムーズです。 - 診察や検査部位の相談
性行為の内容(性器同士の接触、オーラルセックス、アナルセックスなど)や症状をもとに、どの部位を検査するかを医師と一緒に相談して決めます。 - 検査の実施
男性:尿を採取してトリコモナスDNA検査を行います。
女性:膣分泌物を綿棒で採取して検査します。
生理中の方は、検査の精度が下がるため、生理終了後の検査をおすすめしています。 - 検査結果のご説明
検査結果は通常2〜4日程度で判明します。
クリニックでのご説明のほか、WEBやお電話での結果確認にも対応しています。 - 治療開始
陽性の場合は、5-ニトロイミダゾール系の抗原虫薬を用いて、通常10日間の内服治療を行います。
難治性の女性の症例では、膣錠を併用して膣内の環境を整える治療を行うこともあります。
治療期間中は、悪酔いや吐き気を防ぐため、飲酒は控えていただくことが望ましいです。 - 治癒確認(必要に応じて再検査)
症状の経過やご希望に応じて、治療終了後に再検査を行い、陰性化を確認することも可能です。
前立腺炎や膣炎が長引いている方、再発を繰り返している方では、再検査をおすすめする場合があります。
オンライン診療をご希望の場合は、状態に応じて、検査やお薬配送までご自宅で完結できるケースもあります。
対面診察が必要な場合は、その旨をご案内いたします。
よくあるご質問
Q. トリコモナスの潜伏期間はどれくらいですか?
A. 一般的には、感染の機会から数日〜数週間(目安:5〜28日)で症状が出ることがあります。ただし、無症状のまま経過することもあり、いつ感染したかをはっきり特定できない場合もあります。
Q. トリコモナスはどんな検査をしますか?
A. 男性は尿、女性は膣分泌物を採取して検査します。当院では精度の高いDNA検査を採用しており、結果は通常2〜4日程度で判明します。
Q. トリコモナス検査は、いつ受けるのがよいですか?
A. 心当たりから日が浅い場合は、検査タイミングによっては判定が難しいことがあります。不安が強い場合は早めに一度相談し、結果や症状に応じて、必要なら日をあけて再検査を検討するのが安心です。
Q. トリコモナスの検査結果はどれくらいで分かりますか?
A. 通常は2〜4日程度で結果が分かります。クリニックでの説明に加え、WEBや電話で結果確認できる体制も案内されています。
Q. トリコモナスは放置しても自然に治りますか?
A. 症状が落ち着いたように見えても、体内にトリコモナス原虫が残っていることがあります。放置すると、前立腺炎や膣炎の長期化、パートナーへの感染、ピンポン感染による再発につながることがあるため、自己判断せず治療を受けるのがおすすめです。
Q. トリコモナスは妊娠や赤ちゃんに影響しますか?
A. 女性で感染が長く続いている場合、妊娠や出産に影響する可能性があるとされています。妊娠中に感染が分かった場合も、妊娠週数や全身状態に応じて使える薬があるため、自己判断せず担当医と相談することが大切です。
Q. パートナーも一緒に検査や治療を受けたほうがよいですか?
A. はい。ご本人だけ治療しても、パートナーの体内にトリコモナスが残っていると、再感染(ピンポン感染)を繰り返すことがあります。可能であれば、お二人とも検査を受け、陽性なら同時に治療を進めるのが安心です。
Q. タオル、便座、温泉など、日常生活でトリコモナスがうつることはありますか?
A. 主な感染経路は性行為(性器同士の接触)です。一方で、湿った環境を介した接触感染の可能性が指摘されることもありますが、実際には日常生活での感染頻度は高くありません。下着やタオルの共用を避けるなど、基本的な衛生管理をしていれば、過度に神経質になる必要はないと考えられます。
Q. 他の性感染症も一緒に調べたほうがよいですか?
A. はい。トリコモナスだけでなく、クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどが同時に見つかることもあります。症状が似ているため、まとめて検査しておくと安心です。
Q. 治療中(治療後)はいつから性行為できますか?
A. 再感染を防ぐため、原則としてご本人とパートナーの治療が完了し、症状が落ち着くまでは性行為を控えるのが安全です。再開時期に迷う場合は診察時に相談するのが安心です。
Q. トリコモナスの治療中にお酒を飲んでもいいですか?
A. 治療薬として用いる5-ニトロイミダゾール系の内服中は、悪酔いや吐き気を防ぐため飲酒は避けてください。薬の種類によっては、治療終了後もしばらく控えるよう案内されることがあります。
Q. 治療後の再検査は必要ですか?
A. 状況によります。症状が長引く方、再発を繰り返す方、パートナー治療が難しい方などでは再検査をおすすめする場合があります。ページでは、特に女性で治療後およそ3か月前後の再検査を検討することがあると案内されています。
- クラミジアについて詳しくは:クラミジアのページ
- 淋病(淋菌)について詳しくは:淋病(淋菌)のページ
- マイコプラズマやウレアプラズマについて詳しくは:マイコプラズマ・ウレアプラズマのページ
(最新の知見に基づく最終更新日:2026年3月24日)

