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トリコモナス

著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)

トリコモナスは、性行為で感染することが多い性感染症のひとつです。

症状がある方もいれば、無症状のまま経過する方も少なくありません。

まず知っておきたい3つのポイント

  • 主な感染経路は性行為です
  • 症状がない方も多いため、症状だけでは判断できません
  • 見た目だけで決めつけず、検査で確認するのが安心です

このページでは、トリコモナスの症状、検査、治療、再感染対策まで、総論として分かりやすくまとめています。

トリコモナスとは

トリコモナスは、トリコモナス原虫によって感染する性感染症(STD)のひとつです。

主な感染経路は性行為で、性器同士の接触をきっかけに感染します。

一方で、症状がはっきりしないまま経過することもあり、気づかないうちにパートナーへうつしていたという形で見つかることもあります。

古くから知られている感染症ですが、現在でも検査と治療が必要な性感染症のひとつです。

感染者の年齢層は幅広く、中高年層にも少なくありません。

主な感染経路は性行為(性器同士の接触)です。

日常生活での感染が疑われる報告もありますが、頻度は高くありません(下着やタオルの共用を避ける等の基本的な衛生で十分です)。

ただし、性交経験のない女性や幼児に感染が見られることもあり、これは下着・タオル・便器・浴槽などを介した間接的な感染(接触感染)によるものと考えられています。

トリコモナスの顕微鏡写真
情報元:CDC

症状について

トリコモナスの潜伏期間は、数日〜数週間程度が目安とされています。

ただし、感染しても症状が出ない方も少なくありません。

項目 男性の場合 女性の場合
症状の出方 無症状のことも多いです 無症状のこともありますが、症状が多彩です
主な症状 尿道の違和感、かゆみ、軽い痛み、分泌物など おりものの増加、におい、かゆみ、刺激感など
関連する症状 尿道炎、前立腺炎のような症状につながることがあります 泡状で悪臭のあるおりもの、外陰部・膣の違和感、排尿時痛などがみられることがあります

男性の場合

尿道に違和感やかゆみを感じたり、膿が見られるなど、尿道炎の症状を伴うことがあります。

一方で、無症状で経過することも少なくありません。

また、前立腺に感染して前立腺炎を引き起こすこともあります。

トリコモナスは本来、前立腺や精嚢に感染しますが、尿道に侵入することで尿道炎の症状を引き起こす場合があります。

女性の場合

男性に比べ、女性の症状は非常に多様です。

主な症状としては、泡状で悪臭のあるおりものの増加、外陰部や膣のかゆみや刺激感などが挙げられます。

ただし無症状の方も多く、報告では7割程度が症状に乏しいともされます。

トリコモナスは、膣内の環境を乱すことで細菌が増殖しやすい状態を引き起こします。

その結果、嫌気性菌や大腸菌などが増殖し、悪臭の原因となることがあります。

トリコモナスの治療を行うことで膣内環境が整い、症状が改善することが多いです。

ただし、場合によっては細菌性膣炎の治療を併せて行う必要がある場合もあります。

トリコモナスの症状

こんなときはトリコモナス検査をご検討ください

トリコモナスは、クラミジアや淋病など他の性感染症と症状が似ていたり、症状がはっきりしないまま続くこともあります。

次のような場合は、一度検査をご検討ください。

  • 性行為のあとから、尿道の違和感、かゆみ、にぶい痛みが続いている
  • クラミジア・淋病の検査は陰性だったが、尿道炎のような症状が残っている
  • 泡立つようなおりもの、悪臭のあるおりものが増えている
  • カンジダと診断され治療したが、かゆみやおりものがなかなか良くならない
  • パートナーがトリコモナス陽性と分かり、自分も感染していないか心配
  • 過去にトリコモナス治療をしたことがあり、同じような症状が再び出てきた

気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、早めの検査がおすすめです。

検査について

トリコモナスは、見た目だけで確定できる感染症ではありません。

診断には、主に顕微鏡検査・培養検査・DNA検査があります。

検査方法 特徴 判明の目安
顕微鏡検査 その場で分かることがありますが、原虫が少ないと見落としもありえます その場で判明することがあります
培養検査 専用培地で増やして確認する検査です 数日〜約1週間
DNA検査 見逃しを減らしたい時に有用な高精度検査です 約2〜4日

当院では、主に高精度なDNA検査を実施しています。

検査の方法

  • 男性:尿を採取して検査を行います
  • 女性:膣分泌物を綿棒で採取して検査を行います

女性は、当院では精度の観点から、生理終了後の検査をおすすめしています。

項目 料金(税込)
トリコモナス 尿道 5,500円
トリコモナス 膣 5,500円

治療について

当院では主に、メトロニダゾール(5-ニトロイミダゾール系)の内服で治療します。

標準的には、1日2回・10日間の内服治療です。

女性で治りにくい場合には、膣錠を併用して治療を行うこともあります。

項目 料金(税込) 用法
トリコモナス治療 9,000円 10日間内服

治療中は飲酒を控えることが望ましいです。服用中にアルコールを摂取すると、悪酔いや吐き気などが起こりやすくなるためです。

オンライン診療(全国配送可)

※ 送料無料、指定住所へ郵送

トリコモナスが治りにくい・再発しやすいケース

トリコモナスは、決められた期間しっかり治療すれば、多くの方で改善が期待できる感染症です。

一方で、次のような場合には「治りにくい」「またなった気がする」と感じることがあります。

  • 薬の飲み忘れが多い、自己判断で途中中止してしまった
  • 難治性で、本来は膣錠併用などの局所治療が望ましいケースだった
  • 前立腺など、尿道や膣以外の部位に原虫が残っている
  • パートナーの検査や治療が行われていない(ピンポン感染)
  • 他の性感染症を同時に持っていて炎症が長引いている

うまく治らないと感じる場合も、検査結果や治療歴を確認しながら、薬の選択や治療期間を調整することで改善が期待できることが多いです。

予防について

パートナーがいる場合は、パートナーも検査を受け、必要であれば治療を行うことが大切です。

ご本人だけ治療しても、パートナーが未治療だと再感染を繰り返すことがあります。

  • コンドームの使用で感染リスクを下げることができます
  • 感染リスクが高い相手との性行為を避けることも有効です
  • 再感染予防のため、パートナー対応まで含めて考えることが大切です

さらに、不衛生なトイレや浴場などから感染する可能性も指摘されていますので、衛生管理にも注意が必要です。

当院でのトリコモナス検査〜治療の流れ

  1. 事前Web問診〜ご来院
    事前Web問診から症状や心当たりのあるタイミング、ご希望の検査などをお送りいただくと、当日のご案内がスムーズです。
  2. 診察や検査部位の相談
    性行為の内容(性器同士の接触、オーラルセックス、アナルセックスなど)や症状をもとに、どの部位を検査するかを医師と一緒に相談して決めます。
  3. 検査の実施
    男性:尿を採取してトリコモナスDNA検査を行います。
    女性:膣分泌物を綿棒で採取して検査します。
    生理中の方は、検査の精度が下がるため、生理終了後の検査をおすすめしています。
  4. 検査結果のご説明
    検査結果は通常2〜4日程度で判明します。
    クリニックでのご説明のほか、WEBやお電話での結果確認にも対応しています。
  5. 治療開始
    陽性の場合は、5-ニトロイミダゾール系の抗原虫薬を用いて、通常10日間の内服治療を行います。
    難治性の女性の症例では、膣錠を併用して膣内の環境を整える治療を行うこともあります。
    治療期間中は、悪酔いや吐き気を防ぐため、飲酒は控えていただくことが望ましいです。
  6. 治癒確認(必要に応じて再検査)
    症状の経過やご希望に応じて、治療終了後に再検査を行い、陰性化を確認することも可能です。
    前立腺炎や膣炎が長引いている方、再発を繰り返している方では、再検査をおすすめする場合があります。

オンライン診療をご希望の場合は、状態に応じて、検査やお薬配送までご自宅で完結できるケースもあります。
対面診察が必要な場合は、その旨をご案内いたします。

よくあるご質問

Q. トリコモナスの潜伏期間はどれくらいですか?

A. 一般的には、感染の機会から数日〜数週間(目安:5〜28日)で症状が出ることがあります。ただし、無症状のまま経過することもあり、いつ感染したかをはっきり特定できない場合もあります。

Q. トリコモナスはどんな検査をしますか?

A. 男性は尿、女性は膣分泌物を採取して検査します。当院では精度の高いDNA検査を採用しており、結果は通常2〜4日程度で判明します。

Q. トリコモナス検査は、いつ受けるのがよいですか?

A. 心当たりから日が浅い場合は、検査タイミングによっては判定が難しいことがあります。不安が強い場合は早めに一度相談し、結果や症状に応じて、必要なら日をあけて再検査を検討するのが安心です。

Q. トリコモナスの検査結果はどれくらいで分かりますか?

A. 通常は2〜4日程度で結果が分かります。クリニックでの説明に加え、WEBや電話で結果確認できる体制も案内されています。

Q. トリコモナスは放置しても自然に治りますか?

A. 症状が落ち着いたように見えても、体内にトリコモナス原虫が残っていることがあります。放置すると、前立腺炎や膣炎の長期化、パートナーへの感染、ピンポン感染による再発につながることがあるため、自己判断せず治療を受けるのがおすすめです。

Q. トリコモナスは妊娠や赤ちゃんに影響しますか?

A. 女性で感染が長く続いている場合、妊娠や出産に影響する可能性があるとされています。妊娠中に感染が分かった場合も、妊娠週数や全身状態に応じて使える薬があるため、自己判断せず担当医と相談することが大切です。

Q. パートナーも一緒に検査や治療を受けたほうがよいですか?

A. はい。ご本人だけ治療しても、パートナーの体内にトリコモナスが残っていると、再感染(ピンポン感染)を繰り返すことがあります。可能であれば、お二人とも検査を受け、陽性なら同時に治療を進めるのが安心です。

Q. タオル、便座、温泉など、日常生活でトリコモナスがうつることはありますか?

A. 主な感染経路は性行為(性器同士の接触)です。一方で、湿った環境を介した接触感染の可能性が指摘されることもありますが、実際には日常生活での感染頻度は高くありません。下着やタオルの共用を避けるなど、基本的な衛生管理をしていれば、過度に神経質になる必要はないと考えられます。

Q. 他の性感染症も一緒に調べたほうがよいですか?

A. はい。トリコモナスだけでなく、クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどが同時に見つかることもあります。症状が似ているため、まとめて検査しておくと安心です。

Q. 治療中(治療後)はいつから性行為できますか?

A. 再感染を防ぐため、原則としてご本人とパートナーの治療が完了し、症状が落ち着くまでは性行為を控えるのが安全です。再開時期に迷う場合は診察時に相談するのが安心です。

Q. トリコモナスの治療中にお酒を飲んでもいいですか?

A. 治療薬として用いる5-ニトロイミダゾール系の内服中は、悪酔いや吐き気を防ぐため飲酒は避けてください。薬の種類によっては、治療終了後もしばらく控えるよう案内されることがあります。

Q. 治療後の再検査は必要ですか?

A. 状況によります。症状が長引く方、再発を繰り返す方、パートナー治療が難しい方などでは再検査をおすすめする場合があります。特に女性では、治療後およそ3か月前後の再検査を検討することがあります。

(最新の知見に基づく最終更新日:2026年4月27日)

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