トリコモナス
著者:院長 福地裕三
トリコモナスとは
トリコモナスは、トリコモナス原虫によって感染する性感染症(STD)の一つです。
古くから知られている性感染症の一つであり、まれに再発を繰り返す、または治療が難航することもあります。
感染者の年齢層は幅広く、中高年層にも少なくありません。
また、性交経験のない女性や幼児に感染が見られることもあり、これは下着・タオル・便器・浴槽などを介した間接的な感染(接触感染)によるものと考えられています。
トリコモナスの顕微鏡写真
情報元:CDC
症状について
トリコモナス感染症の潜伏期間は、感染後およそ10日前後といわれています。
男性の場合
尿道に違和感やかゆみを感じたり、膿が見られる尿道炎の症状を伴うことがあります。尿道炎の症状を伴う場合もありますが、無症状であることも少なくありません。
ただし、無症状で経過することも少なくありません。
また、前立腺に感染して前立腺炎を引き起こすこともあります。
トリコモナスは本来、前立腺や精嚢に感染しますが、尿道に侵入することで尿道炎の症状を引き起こす場合があります。
女性の場合
男性に比べ、女性の症状は非常に多様です。
主な症状としては、泡状で悪臭のあるおりものの増加、外陰部や膣のかゆみや刺激感などが挙げられます。
ただし、無症状の方も約20〜50%程度いるといわれています。
トリコモナスは、膣内の環境を乱すことで細菌が増殖しやすい状態を引き起こします。
その結果、嫌気性菌や大腸菌などが増殖し、悪臭の原因となることがあります。
トリコモナスの治療を行うことで膣内環境が整い、症状が改善することが多いです。
ただし、場合によっては細菌性膣炎の治療を併せて行う必要がある場合もあります。
トリコモナスの症状
検査について
検査の種類
トリコモナス感染症の診断には、主に顕微鏡検査、培養検査、DNA検査の3種類があります。
顕微鏡検査
顕微鏡で動き回るトリコモナス原虫が観察されれば、診断が確定します。
原虫が確認できればその場で診断が可能ですが、原虫の数が少ない場合などは見落とされることもあります。
培養検査
トリコモナス専用の培地で原虫を培養し、感染の有無を調べる検査です。
検査結果が出るまでに、数日から約1週間程度かかります。
DNA検査
上記の2つの検査と比較して、精度が非常に高い検査方法です。
当院では、高精度なDNA検査を実施しており、検査結果はおよそ2〜4日で判明します。
検査の方法
男性の場合
尿を採取して検査を行います。
女性の場合
長めの綿棒のような器具を使用し、膣から分泌物を採取して検査を行います。
なお、生理中は検査ができないため、生理終了後に検査を行います。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| トリコモナス 尿道 | 5,500円 |
| トリコモナス 膣 | 5,500円 |
治療について
5-ニトロイミダゾール系の抗原虫薬をおよそ10日間内服して治療を行います。
女性で治りにくい難治性の場合には、膣錠を併用して治療を行うこともあります。
治療中は、飲酒を控えることが望ましいです。
これは、服用中にアルコールを摂取するとアルコールの分解能力が低下し、悪酔いや吐き気などの症状が起こりやすくなるためです。
| 項目 | 料金 | 用法 |
|---|---|---|
| トリコモナス | 9,000円 | 10日間内服 |
※ 送料無料、指定住所へ郵送
予防について
パートナーがいる場合は、パートナーも検査を受け、陽性であれば治療が必要です。
治療を行わないと、いわゆるピンポン感染と呼ばれる、お互いに再感染を繰り返す可能性があります。
感染を完全に防ぐことは難しいですが、コンドームを使用することで感染リスクを低下させることができます。
また、感染のリスクが高い相手との性行為を避けることも、感染予防に有効です。
さらに、不衛生なトイレや浴場などから感染する可能性も指摘されていますので、衛生管理にも注意が必要です。


