B型肝炎ウイルスワクチン
著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)
B型肝炎ワクチンをご検討中の方へ
B型肝炎ワクチンは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染の予防を目的としたワクチンです。 血液曝露だけでなく、性行為でも感染することがあるため、性交渉の機会がある方や、パートナーがB型肝炎の可能性がある方でも接種を検討する価値があります。
まず知っておきたいポイント
・通常は4週間隔で2回接種し、さらに初回接種から20〜24週後に1回追加します。
・ページ上ではわかりやすく、0・1・6か月の3回接種としてご案内しても問題ありません。
・HBs抗体の確認は、3回目接種の1〜2か月後が目安です。
・未接種または接種未完了で、相手がB型肝炎の可能性がある場合は、行為後14日以内を目安に早めにご相談ください。
・HIV感染のある方、慢性肝疾患のある方でも、B型肝炎ワクチン接種が検討されます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| ワクチン名 | ビームゲン(国産B型肝炎ワクチン) |
| 通常スケジュール | 4週間隔で2回、その後初回接種から20〜24週後に1回追加 |
| わかりやすい案内 | 0・1・6か月の3回接種 |
| 抗体価確認 | 3回目接種の1〜2か月後が目安 |
| 料金(税込) | 1回 9,000円 |
B型肝炎そのものの感染経路、検査の見方、行為直後の対応については、 B型肝炎の解説ページもあわせてご確認ください。
B型肝炎とは
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が肝臓に感染し、肝機能障害を引き起こす感染症です。
成人の多くは自己免疫の働きにより、一過性の感染で自然に治癒します。
しかし、一部の人ではウイルスが体内に残り、持続感染(キャリア)の状態になることがあります。
持続感染が続くと、肝硬変や肝がんを発症することがあります。
成人における急性B型肝炎の多くは、性感染によるものと考えられています。
また、母子感染(垂直感染)は、母子感染予防対策の普及により大幅に減少しました。
B型肝炎は、ワクチンによって予防が可能な感染症です。
B型肝炎ウイルスの透過型電子顕微鏡の画像
出典:CDC
急性B型肝炎
B型肝炎ウイルスに感染してから1〜6か月の潜伏期間を経て、全身のだるさ(倦怠感)、食欲低下、吐き気、濃い烏龍茶のような色の尿がみられるようになります。
また、眼球や皮膚が黄色くなる黄疸が出ることもあります。
一部の症例では、病状が急激に悪化して 劇症肝炎を起こすことがあり、注意が必要です。
慢性B型肝炎
母子感染や乳幼児期にB型肝炎ウイルス(HBV)に感染すると、ウイルスが体内に残り持続感染することがあります。
この状態では、長期間にわたりウイルスに感染しているものの、肝炎を発症せず症状もみられない 無症候性キャリアの状態が続きます。
思春期を過ぎるころになると、体がウイルスを異物として認識し始め、一般に10〜30歳代で一時的に肝炎を発症し、強い炎症を起こすことがあります。
その後、約80〜90%の人では肝炎の症状が自然に治まりますが、残りの10〜20%では炎症が持続し、慢性肝炎へ移行します。
慢性肝炎が続くと、将来的に肝硬変や肝がんに進行するリスクが高くなります。
B型肝炎ワクチンとは
B型肝炎ワクチンを接種することで、B型肝炎ウイルス(HBV)への感染を防ぐことができます。
ワクチンは、半年間に3回の接種が必要です。
初回接種の後、1か月後と6か月後に追加接種を行うことで、十分な免疫を獲得できます。
接種は、腕の肩に近い部位(上腕の三角筋)に筋肉注射で行われます。
すでにB型肝炎ウイルスに感染している場合は、ワクチンを接種しても予防効果は得られません。
感染の有無が心配な方は、事前にB型肝炎の検査を受けて確認すると安心です。
他のワクチンと同様に、接種部位の赤みや腫れなどの副反応が起こることがありますが、ほとんどは数日以内に改善します。
B型肝炎ワクチンの接種スケジュール
当院では、国産B型肝炎ワクチンビームゲンを使用しています。
通常は、4週間隔で2回接種し、さらに初回接種から20〜24週後に1回追加します。
B型肝炎ワクチンは、半年間に合計3回の接種が基本です(初回、1か月後、6か月後)。 3回目まで完了することで、十分な免疫の獲得が期待できます。
接種間隔が空いてしまった場合
お仕事やご都合で接種間隔が空いてしまった場合でも、一般的には最初からやり直しは不要とされます。 できるだけ早めに、途中から再開して3回目まで完了してください。
抗体検査(HBs抗体)について
ワクチン接種後に抗体が十分ついているか確認したい方は、HBs抗体検査(抗体価)が可能です。
- 確認の目安:3回目接種の1〜2か月後
- 免疫獲得の目安:HBs抗体が10 mIU/mL以上
とくに、医療従事者の方、血液や体液への曝露リスクがある方、免疫が低下している可能性がある方などは、抗体価の確認をご相談ください。
このような方はB型肝炎ワクチンをご検討ください
- 性交渉の機会がある方
- パートナーがB型肝炎ウイルスに感染している、またはその可能性がある方
- 複数のパートナーがいる方
- 血液曝露の機会がある方(医療従事者、針刺し事故の可能性がある方など)
- タトゥー、ピアス、注射器具の共用などで感染リスクがある方
- HIV感染のある方
- 慢性肝疾患のある方
B型肝炎ワクチンは、性交渉リスクのある方だけでなく、重症化リスクや管理上の問題が出やすい方でも接種を検討する価値があります。
当院での接種の流れ
現在、ワクチンの在庫がございますので、ご予約は不要です。
接種当日は、受付時に簡単な問診票のご記入をお願いしております。
また、ワクチン接種後は体調の変化を観察するため、しばらく院内でお待ちいただくようご協力をお願いしております。
※ 使用しているワクチンは、明治製菓製の国産ワクチンです。
当院で使用しているワクチンについて
当院では、国産B型肝炎ワクチンビームゲンを使用しています。
販売元:Meiji Seika ファルマ株式会社
料金
| 項目 | 料金 | 回数 |
|---|---|---|
| B型肝炎ワクチン(明治製菓製・国産) | 9,000円 | 1回 |
| 標準(合計3回) | 合計 27,000円 | 3回 |
接種前の確認(感染が心配な方)
すでにB型肝炎ウイルスに感染している場合は、ワクチンを接種しても予防効果は得られません。 感染の有無が心配な方は、事前に検査を受けて確認すると安心です。 B型肝炎の検査もあわせてご確認ください。
抗体価確認について
HBs抗体の確認は、通常3回目接種の1〜2か月後が目安です。
ただし、抗体価確認は全員に必須というわけではありません。特に、医療従事者の方、血液や体液への曝露リスクがある方、B型肝炎陽性のパートナーがいる方、免疫が低下している可能性がある方では、抗体価確認の意義が高くなります。
3回接種後に十分な抗体が獲得されていない場合は、追加接種を検討することがあります。
他のワクチンとの同日接種や接種間隔
原則として、他の不活化ワクチン等は同日接種や接種間隔を空けない接種も可能です。 ただし、注射生ワクチン同士を別日に接種する場合は、一定の間隔が必要となります。 詳細は受付または診察時にご相談ください。
性交渉や血液曝露のあとで心配な方へ
相手がB型肝炎ウイルスに感染している可能性がある場合は、できるだけ早く医療機関へ相談することが大切です。 特に、こちらが未接種またはワクチン未完了であれば、HBIG(B型肝炎免疫グロブリン)やワクチン接種を早めに検討することがあります。
性的曝露では、14日以内が一つの目安とされています。心配な行為があった場合は、自己判断せず早めにご相談ください。
よくある質問
- Q. 何回接種が必要ですか?
- A. 基本は半年間に3回(初回、1か月後、6か月後)です。
- Q. 接種間隔が空いてしまいました。最初からやり直しですか?
- A. いいえ、一般的にはやり直し不要です。できるだけ早めに途中から再開して、3回目まで完了してください。
- Q. いつから予防効果が期待できますか?
- A. 免疫の獲得には複数回の接種が重要です。3回目まで完了することで、十分な免疫の獲得が期待できます。
- Q. 接種前に検査は必要ですか?
- A. 必須ではありませんが、感染の有無が心配な方は事前に検査を受けて確認すると安心です。
- Q. 抗体がついたか確認できますか?
- A. はい、HBs抗体検査(抗体価)で確認できます。目安は3回目接種の1〜2か月後です。
- Q. 抗体価はどのくらいあれば良いですか?
- A. 免疫獲得の目安として、HBs抗体10 mIU/mL以上が一つの基準です。
- Q. 他のワクチンと同日に接種できますか?
- A. 原則として可能です。ただしワクチンの種類によって例外があるため、ご不安な方は受付または診察時にご相談ください。
- Q. 副反応はありますか?
- A. 接種部位の痛み、赤み、腫れ、だるさ、微熱などがみられることがあります。多くは数日以内に改善します。強いアレルギー症状(息苦しさ、全身じんましん等)が出た場合は速やかに医療機関へご相談ください。
- Q. すでに感染している場合はワクチンで治りますか?
- A. ワクチンは予防目的であり、治療ではありません。感染が疑われる場合は検査をご相談ください。
- Q. 性交渉のあとでも、B型肝炎ワクチンで間に合いますか?
- A. 相手がB型肝炎ウイルスに感染している可能性がある場合は、できるだけ早く医療機関へ相談することが大切です。特に、こちらが未接種またはワクチン未完了であれば、HBIG(B型肝炎免疫グロブリン)やワクチン接種を早めに検討することがあります。性的曝露では、14日以内が一つの目安とされています。
- Q. 接種間隔が空いてしまった場合は、最初からやり直しですか?
- A. いいえ。一般的には、最初からやり直す必要はありません。できるだけ早めに途中から再開し、合計3回の接種を完了することが大切です。不安な方は、これまでの接種歴を確認しながらご相談ください。
- Q. 抗体価が十分につかなかった場合はどうしますか?
- A. 3回接種後1〜2か月を目安にHBs抗体を確認し、十分な抗体が獲得されていない場合は、追加接種を検討することがあります。特に、医療従事者の方、血液や体液への曝露リスクがある方、免疫が低下している可能性がある方では、抗体価確認と追加対応が重要になることがあります。
- Q. HIV感染や慢性肝疾患があっても、B型肝炎ワクチンは受けた方がよいですか?
- A. はい。HIV感染のある方や慢性肝疾患のある方では、B型肝炎にかかった場合に重症化や管理上の問題が出やすいため、ワクチン接種が特に重要になります。渡航予定がなくても、リスクに応じて接種を検討する価値があります。
最新の知見に基づく最終更新日:2026年3月10日

