尖圭コンジローマ
著者:院長 福地裕三
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)への感染によって引き起こされる性感染症です。
HPVは180種類以上の型に分類されており、そのうち性器から検出されるものは40種類以上にのぼります。
尖圭コンジローマの原因となるHPVは、低リスク型の6型と11型が約90%を占めています。
また、発がんと関連する高リスク型の16型や18型が同時に感染している場合もあります。
HPVは性的接触により、皮膚や粘膜の小さな傷口から侵入して細胞に感染します。
感染後は、3週間から8か月の潜伏期間を経てイボを発症します。
潜伏期間が長いため、感染の時期を特定できないことも多くあります。
また、分娩時に母子感染し、子どもに感染することもあります。
症状について
男性の場合
男性では、亀頭、冠状溝、包皮、陰嚢、尿道口、肛門などにイボが発症します。
表面がつぶつぶとした、鳥のトサカ状あるいはカリフラワー状のイボが出現します。
色は淡い赤色から褐色で、ときに巨大化することもあります。
一般的に、かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんど伴いません。
また、肛門性交により。肛門周囲に発症することもあります。
女性の場合
女性では、大陰唇や小陰唇、膣入口部、膣から肛門にかけてイボが発症します。
正常な膣前庭乳頭症との鑑別が難しい場合もあります。
高リスク型のHPV(16型や18型)が同時に感染していることもあります。
これらの型は、子宮頸がん発症のリスク要因となる可能性があります。
診断と検査
尖圭コンジローマは、特徴的なイボの形状から、視診によって診断が可能です。
女性の場合は、膣入口部など見えにくい内側に発症していることもあります。
また、肛門性交により肛門周囲に発症することもあります。
免疫力の低下が疑われる場合には、HIV検査を受けることも推奨されます。
検査の種類
ハイブリッドキャプチャー法
低リスク型および高リスク型のHPVウイルスの有無を検出する検査です。
結果は、数日から1週間ほどで判明します。
この検査では、それぞれ複数の型をまとめて検出するため、具体的な型の種類までは判別できません。
PCR法(型判定検査)
低リスク型および高リスク型のHPVウイルスについて、どの型が検出されるかを判定する検査です。
精度の高いPCR法により、31種類もの型を検出することが可能です。
なお、保険診療で調べられる型は13種類程度までであることが多いです。
検出可能な型の内訳は以下のとおりです「6,11,16,18,26,31,33,35,39,42,44,45,51,52,53,54,55,56,58,59,61,62,66,68,70,71,73,82,84,90,CP6108」となります。
検査結果は、2週間から4週間ほどで判明します。
| 項目 | 料金 | 採取部 |
|---|---|---|
| HPV(高リスク) | 7,700円 | 性器・皮膚 |
| HPV(低リスク) | 7,700円 | 性器・皮膚 |
| HPV(型判定) | 22,000円 | 性器・皮膚 |
治療について
イボが小さい場合は、液体窒素による治療で1回の施術で除去できることもあります。
イボが大きい場合は、液体窒素による治療を繰り返し行い、徐々に小さくしていきます。
外用クリームは、効果に個人差があり、反応が弱い方では使用を続けてもイボがなかなか消失しないことがあります。
基本的には、液体窒素による治療が簡便で、比較的早く改善する場合が多いです。
また、外用クリームは、液体窒素治療後の再発予防として併用すると、より効果的です。
凍結療法
液体窒素を含ませた綿棒をイボに押し当て、数回にわたり凍結させます。
この処置を1〜2週間ごとに繰り返し行います。
やや痛みを伴うことがありますが、通常は局所麻酔を必要としません。
治療期間は、1回で終了する場合もあれば、数週間かかることもあります。
クリームの外用
イボに対して、隔日で週3回塗布し、6〜10時間後に洗い流して使用します。
作用としては、HPVの増殖を抑制するとともに、HPVに感染した細胞を障害します。
副作用として赤みが生じることがありますが、症状が強い場合は一時的に休薬して対応します。
欠点としては、治療期間が数か月に及ぶことがあります。
外科的療法
レーザー、電気メス、またはハサミなどを用いてイボを除去します。
いずれの方法でも、局所麻酔が必要となります。
治療期間は比較的短いものの、再発しやすいというデメリットがあります。
なお、当院では本治療は実施しておりません。
費用について
液体窒素による治療は、イボの数に関係なく1回あたり5,500円(税込)となります。
女性の場合は、外陰部など外から確認できる範囲に限って処置を行っております。
| 項目 | 料金 | 用法 |
|---|---|---|
| 尖圭コンジローマ | 5,500円 | 1回(液体窒素) |
| 尖圭コンジローマ | 9,000円 | クリーム(2週間分) |
※ 送料無料、指定住所へ郵送
予防について
HPVは皮膚や粘膜の小さな傷口から侵入するため、コンドームの使用は感染予防に有効です。
ただし、コンドームだけで完全に予防することは難しいとされています。
HPVワクチン
尖圭コンジローマの予防に効果があるHPVワクチンがあります。
HPVワクチンを接種することで、尖圭コンジローマの発症を予防することができます。


