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赤痢アメーバ

著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)

赤痢アメーバの要点まとめ

  • 赤痢アメーバは、下痢、粘血便、腹痛、しぶり腹の原因になる感染症です。
  • 海外渡航歴がなくても、便が関わる性的接触によって国内で感染することがあります。
  • 検査は便検体で行い、結果は2〜3日程度が目安です。
  • 長引く下痢や血便がある場合は、自己判断で様子を見すぎず、早めの受診をご検討ください。

本ページでは、赤痢アメーバ(アメーバ赤痢)の原因・うつり方・症状・検査・治療の流れを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。受診の目安や予防のポイント、よくある質問もまとめました。迷ったら早めにご相談ください。

赤痢アメーバ症について

赤痢アメーバは、海外渡航歴がなくても国内で感染することがあります。

特に、便が関わる性的接触によって感染することがあり、性感染症のひとつとしてみつかることもあります。下痢、粘血便、しぶり腹が続くときや、肛門まわりと口が接触する行為に心当たりがあるときは、早めの検査をご検討ください。

赤痢アメーバ症は、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という病原体への感染によって発症します。

赤痢アメーバは、シスト(嚢子)と呼ばれる卵のような形態で感染力を有しています。

シスト(嚢子)に汚染された食品を摂取することで、経口感染が起こります。

またシスト(嚢子)が付着した肛門部との接触によって、糞口感染することもあります。

日本では、赤痢アメーバは「海外でうつる寄生虫感染症」だけではありません。便が関わる性的接触による国内感染もみられます。

具体的には、肛門を直接なめる・なめられる行為や、便が付着した手指や器具を介して口に入る行為でも感染することがあります。海外渡航歴がなくても、症状や接触内容によっては赤痢アメーバを疑うことがあります。

赤痢アメーバの顕微鏡像
出典:国立感染症研究所

口から入ったシスト(嚢子)は、胃の中の胃酸では変化しません。

胃から腸に達すると、シスト(嚢子)はトロフォゾイトと呼ばれる成虫のような形態に変化します。

その後、腸管内で増殖し、腸管アメーバとしてさまざまな症状を引き起こします。

中には感染が腸管外にまで進展し、腸管外アメーバ症に至ることもあります。

腸管外アメーバ症の代表的なものに、アメーバ性肝膿瘍があります。

肝膿瘍のCT像
出典:国立感染症研究所

感染者数について(国内の傾向)

感染者の年齢分布は幅広く、さまざまな年代で感染がみられます。

また、女性よりも男性の感染者数が多いことが特徴です。

赤痢アメーバの性別年齢分布グラフ
出典:国立感染症研究所

アメーバ赤痢(赤痢アメーバ症)は国内でも報告が続いており、報告数は年によって変動します。 近年の届出データでは、2019年以降は減少傾向で、2023年・2024年(暫定値)は年間400例台で推移しています。

※ 出典:感染症発生動向調査(JIHS/IDWRの集計)をもとに作成

赤痢アメーバの感染者数
出典:国立感染症研究所

症状について

潜伏期間は2〜3週間といわれていますが、数か月から数年に及ぶこともあります。

主な症状は、大腸での炎症によるものです。

粘血便、下痢、腹痛などの症状がみられることがあります。

症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す方もいます。

ただし、日常生活に支障をきたすほど強い症状が出ることはまれです。

一方、腸管外アメーバ症で肝膿瘍を形成した場合には、発熱を伴うこともあります。

また、単なる痔と誤認されたり、放置されてしまうケースもあります。

血便、下痢、しぶり腹があるときは、原因が赤痢アメーバ以外(細菌性腸炎など)のこともあります。 下痢の受診目安も参考に、迷ったら早めにご相談ください。 「赤痢アメーバと細菌性赤痢の違い」は 比較ページ にまとめています。

赤痢アメーバの粘血便
出典:国立感染症研究所

検査や診断について

検査は、便の中に存在する赤痢アメーバを検出するものです。

検査方法は、便を少量採取して提出していただく形式となります。

当院のトイレで採取していただくか、後日採取した検体をお持ちいただくことも可能です。

検体を提出してから2〜3日前後で結果が判明します。

便検査で1回陰性でも、症状や経過によっては否定しきれないことがあります。

赤痢アメーバは、検体の状態や採取のタイミングによって検出しにくいことがあります。症状が続く場合は、必要に応じて再検査や追加評価を検討します。

また、発熱や右わき腹の痛みがある場合は、腸だけでなく肝膿瘍など腸管外アメーバ症の可能性も考え、血液検査や画像検査が必要になることがあります。

当院での検査や治療の費用と流れ(目安)

  • 検査費用:5,500円(税込)
  • 検体:便検体
  • 結果判明:2〜3日程度(休診日や混雑状況により前後する場合があります)
  • 治療:9,000円(税込)、10日間内服が目安
  • 検査タイミング:感染リスクから2週間以上経過してから、または症状があるときに検査をご検討ください

※ 検査法には複数あり、顕微鏡検査だけでは判別が難しい場合があります。当院では便検体を用いた検査(抗原検査)を基本に、症状や経過に応じて検査を検討します。

※ 症状の程度、原因(赤痢アメーバ、細菌性など)、追加検査や処方内容により、日数や費用が変わる場合があります。
※ 血便、高熱、強い腹痛、脱水(ぐったり、尿が少ない等)がある場合は、我慢せず早めに医療機関へご相談ください。

赤痢アメーバのPAS染色像
出典:国立感染症研究所

治療について

赤痢アメーバ症では、症状のある方に対して、まずメトロニダゾールなどで腸管の炎症や症状の改善を目指します。

ただし、症状が改善しても腸内に病原体(嚢子)が残ることがあり、再発や感染拡大の原因となる場合があります。そのため、必要に応じてパロモマイシン(アメパロモ)等を追加し、腸内に残った病原体の駆除まで行うことがあります。

治療の組み合わせや順序は、症状、検査結果、再検査の所見、肝膿瘍など腸管外病変の有無を踏まえて医師が判断します。

項目 料金 用法 備考
メトロニダゾール 9,000円(税込) 10日間内服 症状がある場合の初期治療としてご案内することがあります。
アメパロモ 33,000円(税込) 10日間内服 取り寄せのため、処方まで数日要します。

※ 症状や検査結果により、すべての方に同じ順序・組み合わせで治療を行うわけではありません。

オンライン診療(全国配送可)

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予防について

赤痢アメーバに感染している可能性のある肛門部と口との接触は避けましょう。

また、赤痢アメーバに汚染された不衛生な飲食物を口にしないようにしましょう。

さらに、途上国など流行地域では、生ものや生水の摂取を控えることが大切です。

性的接触による感染を防ぐためには、肛門まわりと口が直接触れる行為を避けること、コンドームやデンタルダムを場面に応じて使用すること、行為の前後に手洗いを行うことが大切です。

豆知識コラム

粘血便って?

ゼリーのような粘りと血がまざった便のこと。腸に炎症があるサインです。何度も出るときは受診を。

なぜ性行為で広がるの?

病原体は便にふくまれます。肛門まわりにふれたり、口に入ったりする行為でうつることがあります。コンドームやデンタルダムを上手に使うとリスクを下げられます。

治ったと思っても要注意

症状が消えても、しばらくは体内に残ることがあります。医師の指示どおりに薬を飲み切り、必要なら再検査を。

トイレ掃除のコツ

便座・レバー・ドアノブなど手が触れる場所を重点的に。使い捨て手袋を使い、掃除後は石けんで手洗いを。タオルの共用は避けましょう。

旅行と飲食の注意

海外では生もの・生水・氷は要注意。加熱された料理を選び、ペットボトルの未開封の飲料を選ぶと安心です。

肝臓に症状?

右わき腹の痛み・発熱が続く場合、まれに肝膿瘍(かんのうよう)が生じていることがあります。早めの受診で重症化を防げます。

整腸剤で様子見は危険なときも

長引く下痢や粘血便は自己判断せず、検査を受けましょう。原因に合った薬が必要です。

パートナーと一緒にケア

同時に検査・治療すると再感染を防ぎやすくなります。心配ごとは一緒に相談してください。

海外に行っていなくても感染する?

はい。赤痢アメーバは、海外渡航歴がなくても国内で感染することがあります。特に、便が関わる性的接触に心当たりがある場合は、症状が軽くても一度ご相談ください。

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オンライン診療

通院が難しい方や、治療や再診について相談したい方は、オンライン診療のご案内もあわせてご確認ください。

よくあるご質問

Q. 赤痢アメーバってどんな病気ですか?

A. 赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という原虫が原因の感染症です。主な症状は、下痢、腹痛、粘血便、しぶり腹などです。まれに肝膿瘍など、腸の外に病変をつくることもあります。

Q. 海外に行っていなくても赤痢アメーバになりますか?

A. はい。赤痢アメーバは、海外渡航歴がなくても国内で感染することがあります。特に、便が関わる性的接触によって感染することがあり、性感染症のひとつとしてみつかることもあります。

Q. どうやってうつりますか?

A. 赤痢アメーバは、病原体に汚染された飲食物の摂取や、感染者の便を介した糞口感染でうつります。性的接触に伴う糞口感染も報告されており、肛門まわりと口が接触する行為や、便が付着した手指や器具を介して口に入る行為でも感染することがあります。

Q. どれくらいで症状が出ますか?

A. 潜伏期間は通常2〜3週間程度ですが、数か月から数年に及ぶこともあります。また、無症状でも便中に病原体を排出して感染を広げることがあるため、心当たりがある場合は症状がなくても注意が必要です。

Q. どんな症状があれば受診した方がいいですか?

A. 長引く下痢、粘血便、腹痛、しぶり腹がある場合は受診をご検討ください。赤痢アメーバでは高熱が目立たないこともありますが、発熱や右わき腹の痛みがある場合は、肝膿瘍など腸管外アメーバ症の可能性もあります。血便、高熱、強い腹痛、脱水がある場合は、早めの受診が大切です。

Q. 無症状でも検査した方がいいですか?

A. パートナーが赤痢アメーバと診断された場合や、便が関わる性的接触、海外渡航、衛生環境の異なる飲食などに心当たりがある場合は、無症状でも検査を検討する価値があります。赤痢アメーバは、無症候性キャリアでも長期にわたり病原体を排出することがあります。

Q. 検査は何をしますか?

A. 当院では、便検体を用いた検査(抗原検査)を基本に行っています。院内で採取していただくことも、後日採取した便検体をお持ちいただくことも可能です。結果は、検体提出から2〜3日程度が目安です。

Q. 便検査で1回陰性なら安心ですか?

A. 必ずしも1回の検査だけで否定しきれるとは限りません。検体の状態や採取のタイミングによっては、検出しにくいことがあります。症状が続く場合や、赤痢アメーバを強く疑う場合は、再検査や追加の評価を検討することがあります。

Q. 治療はどれくらいかかりますか?

A. 赤痢アメーバは抗原虫薬で治療します。症状がある場合は、まずメトロニダゾールなどで症状の改善を目指します。その後、必要に応じてパロモマイシン(アメパロモ)などを追加し、腸内に残った病原体の駆除を行うことがあります。当院では、メトロニダゾール9,000円(税込)、10日間内服をひとつの目安としてご案内しています。

Q. 治療中の注意点はありますか?

A. 自己判断で内服を中止せず、医師の指示どおりに飲み切ることが大切です。メトロニダゾールが処方された場合は、服用期間中の飲酒は避けてください。あわせて、便が関わる接触や性的接触を控え、手洗いやトイレ周囲の衛生管理も徹底しましょう。

Q. パートナーも検査した方がいいですか?

A. はい。性的接触による感染が疑われる場合は、パートナーも一緒に検査を検討した方がよいことがあります。どちらか一方だけ治療や確認をしても、再感染の原因になることがあります。

Q. 届出やプライバシーが心配です。

A. 赤痢アメーバ症は感染症法上の五類感染症で、診断した医師は7日以内に届け出ることとされています。一方で、無症状病原体保有者は届出対象外です。個人情報は法令に従って適切に取り扱われますので、ご不安がある場合は受診時にご相談ください。

(最新の知見に基づく最終更新日:2026年4月1日)

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