ドキシペップ Doxy PEP
著者:院長 福地裕三
Doxy PEP(ドキシペップ)とはリスク行為後にドキシサイクリン(ビブラマイシン)を内服することで梅毒やクラミジア、淋病をある一定の効果で予防する性病の予防法です。日本ではまだあまり馴染みのない予防法であり、公に公表された情報もほとんどないような予防法です。ただし米国などではその有用性を訴えるような記事や論文などが見受けられます。
最新情報:2024年3月に米国コロラド州でCROI 2024が開催されDoxy PEPの有効性を示す研究データの発表がされ改めて有効性が示された形となっております。(2024/3/5更新)
予防効果
予防効果としては梅毒やクラミジアは90%近く予防が可能と言われております。梅毒やクラミジアに比べると淋病は予防効果が落ちてきますが、それでも60%ほど予防できると言われております。もし梅毒に感染してしまうと1ヶ月近い治療期間がかかってしまいますので、リスク後にDoxy PEPを行う有用性は高いのではと言われています。
投与方法
リスク行為から72時間以内に服用することである一定の予防効果が得られると言われております。菌量が増える前の24時間以内に内服できるとより理想的です。ドキシサイクリンを1回服用することで予防投与は終わりとなります。72時間を超えてしまった場合は医師と相談してお決め下さい。
費用
当院のドキシサイクリンは医薬品の最大手であるファイザー製のドキシサイクリン(ビブラマイシン)を取り扱っております。
項目 | 料金 | |
---|---|---|
Doxy PEP | 2,000円 | 1回分 |
※ 複数回分をまとめて処方も可能です。
※ 上記の料金以外に諸費用はかかりません。
検査の目安
特にガイドラインなどで明記された基準はございません。当院ではドキシサイクリンを内服すると2,3日は成分が体内に残り続けるため、通常より1週間以上経過してからの検査を推奨しております。そのためクラミジアや淋病は内服後1週間以上経過してからPCR法による検査を推奨しています。また梅毒は通常は4週間の経過を必要とするため、5週間以上経過してからの即日精密検査を推奨しています。
副作用
ドキシサイクリンはお腹が張ったり緩くなることがたまにございます。吐き気まで催すことは稀で過度な心配は入りません。あっても数日で治ります。ご心配な方には整腸剤のお渡しが可能です。
注意事項
一般的には抗生剤の予防投与は推奨されておりません。不要な抗生剤の使用は耐性菌を増やしてしまうリスクがあるからです。そのため漫然と内服し続けることはおすすめできません。また稀にアジスロマイシン(ジスロマック)を予防的に内服している方がいますが、医学的に推奨する抗生剤の使い方ではありません。そのためDoxy PEPも医師の指導のもとで適切に使用する必要があります。
従来はMSMやトランス女性に有効との研究データのみでしたが、最近はシス女性など多くの方々への有効性の可能性も示唆されております。