マイコプラズマ・ウレアプラズマの治る確率
著者:院長 福地裕三
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染は通常、適切な抗生物質治療を受けることで治ることが多いです。
一般的には、治療を適切に受けることでマイコプラズマ・ウレアプラズマ感染の治癒率は80〜90%と言われています。
クラミジアや淋病の治癒率が約95%ほどなので、それらに比べると治りにくいと言えます。
また、抗生物質に対する耐性菌の存在や、治療が不完全な場合は治療失敗のリスクがあります。
なぜ耐性化しやすいのか
マイコプラズマ・ウレアプラズマは、遺伝子の1つが変異するだけで抗生物質に対する耐性化を引き起こしてしまいます。
具体的には、抗生物質の作用機序に関わる遺伝子の変異が耐性を生じさせることが知られています。
一般的には、以下の3つの機序により耐性を獲得してしまいます。
リボソームの変異
マイコプラズマ・ウレアプラズマに対する抗生物質の多くは、リボソームに結合してタンパク質合成を阻害することで効果を発揮します。
しかし、リボソームの構造をコードする遺伝子に変異が生じると、抗生物質がリボソームに結合できなくなり、耐性が生じることがあります。
抗生物質分解酵素の生成
ある種の変異により、細菌が抗生物質を分解する酵素を産生するようになることがあります。
この酵素によって抗生物質が無効化されます。
薬剤排出ポンプの活性化
細胞膜に存在する薬剤排出ポンプ(エフラックスポンプ)の遺伝子に変異が生じると、細菌が抗生物質を細胞外に排出しやすくなり、その効果が減少します。
1回の治療で治らなかった場合
抗生物質の投与方法を工夫することで、再治療による治癒率を上げることが可能です。
無駄になってしまう再治療は、同じ抗生物質や同じ系統の抗生物質を再度投与することです。
再治療の際は、異なる系統の抗生物質で治療する必要があります。
それでも治らない場合は、2剤の併用投与や2週間の長期投与を試みる必要があります。
医師と相談して適切な再治療を受けることで、完治までの道のりが短縮されます。