B群髄膜炎菌ワクチン(Men-B)
著者:院長 福地裕三(日本ワクチン学会ガイドライン準拠)
B群髄膜炎菌ワクチン(MenB)をご検討中の方へ
B群髄膜炎菌ワクチン(MenB)は、B群髄膜炎菌による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防を目的としたワクチンです。 留学、入寮、渡航、基礎疾患などをきっかけにご相談いただくことがありますが、 4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)とは別のワクチンであり、必要な種類は学校、施設、渡航先の要件によって異なります。
まず知っておきたいポイント
・当院では Bexsero(ベクセロ) を取り扱っています。
・MenBはB群専用で、MenACWY(A/C/W/Y)とは別枠です。
・一般的には 2回接種(0か月、6か月) が基本です。
・無脾症、補体欠損、補体阻害薬使用中などの高リスクの方は3回接種(0か月、1〜2か月、6か月)を検討します。
・日本国内では未承認の輸入ワクチンです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ワクチン名 | Bexsero(B群髄膜炎菌ワクチン) |
| 予防できる血清群 | B群(MenB) |
| 接種回数の目安 | 一般:2回(0、6か月)、高リスク:3回(0、1〜2、6か月) |
| 料金(税込) | 25,000円、1回 |
| こんな方が相談しやすいです | 無脾症、補体欠損、補体阻害薬使用中、髄膜炎菌を扱う方、学校や施設から接種を求められている方 |
留学や入寮、渡航でワクチン証明が必要な場合は、MenBだけで足りるとは限りません。 4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)が必要なことも多いため、学校や機関の案内書類がある方は受診時にご持参ください。
髄膜炎菌感染症とは
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、脳や脊髄を包む膜に感染を引き起こす細菌で、急速に進行し、重篤な症状を呈することがあります。
侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)は日本ではまれな感染症ですが、近年は届出数が増加しています。2025年の国内報告数は過去最多の86例でした。
また、国内で血清群が判明した症例では、Y群が65%、B群が23%を占めており、B群も重要な血清群のひとつです。そのため、B群を直接カバーするMenBワクチンの必要性は、学校や施設の要件や個人のリスクに応じて検討することが大切です。
日本国内でも増加傾向が報告されています
侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎や敗血症など)は、発症すると進行が非常に速く、短時間で重症化することがあります。 日本でも近年、届出数が増加しており注意が必要です。
MenB(B群)と、4価ワクチン(A/C/W/Y)の違い
髄膜炎菌には複数の血清群があり、ワクチンも種類によって防げる型が異なります。 留学、寮生活、渡航では4価(MenACWY)の接種証明を求められることも多く、MenBとは別枠です。 要件がある方は、学校や機関からの案内(必要ワクチンの種類)をお持ちください。
- MenB(B群):B群に対する予防(当院はBexsero)
- 4価(MenACWY):A/C/W/Yに対する予防(MenBとは別)
接種を特に検討しやすい方
B群髄膜炎菌ワクチン(MenB)は、すべての方に一律で必要というわけではありません。特に以下の方では、接種を積極的に検討します。
- 無脾症(脾臓を摘出している方、機能的無脾を含む)の方
- 持続的補体欠損のある方
- 補体阻害薬(エクリズマブ、ラブリズマブなど)を使用している方
- 髄膜炎菌を扱う微生物検査従事者
- 公衆衛生当局がMenBの流行(アウトブレイク)と判断した状況に該当する方
また、健康な16〜23歳の方でも、留学、入寮、寮生活、集団生活などをきっかけに、医師と相談のうえで接種を検討することがあります。
いっぽうで、アフリカの髄膜炎ベルトへの渡航、ハッジ・ウムラ、学生寮、軍隊、HIV感染では、まず4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)の要件確認が重要です。MenBは渡航者やHIV感染者に一律で routine に必要とは限らず、学校、施設、渡航先の要件や個人のリスクに応じて個別に判断します。
B群髄膜炎菌ワクチンとは
B群髄膜炎菌ワクチンは、B群髄膜炎菌による感染症を予防するためのワクチンです。
海外では「Bexsero」や「Trumenba」といった製品が使用されていますが、日本国内では未承認のため、当院では輸入代行卸より「Bexsero(ベクセロ)」を直輸入しております。
日本で承認されている髄膜炎菌ワクチンはA/C/W/Yの4価(例メンクアッドフィ)で、BexseroとTrumenbaは欧米で承認されています。
ワクチンの仕入れから保管までコールドチェーン体制を確立しており、温度ロガーでの計測ではこれまで一度も2〜8℃を逸脱しておりませんので、品質的にもご安心いただけます。
接種スケジュールと方法(当院のご案内)
当院で扱うMenBワクチン Bexsero(ベクセロ) は、接種を急ぐ必要があるか、また高リスクに該当するかで接種回数が変わります。
基本(一般的な検討層の方)
- 2回接種(0か月、1ヶ月 or 6か月)が基本です。
高リスクの方
- 3回接種(0か月、1〜2か月、6か月)を検討します。
- 対象は、無脾症、持続的補体欠損、補体阻害薬使用中、髄膜炎菌を扱う方、MenBアウトブレイク関連の方などです。
- 留学、入寮、提出期限が近い方も、状況に応じて早めのスケジュールをご案内します。
接種は上腕部への筋肉注射で行います。複数ワクチンを同日に接種する場合は、注射部位を分けて接種します。
※ 予約は不要ですので、診療時間内にいつでもご来院下さい。
| 項目 | 料金 | 回数 |
|---|---|---|
| Bexseroワクチン(MenB) | 25,000円 | 1回分 |
ワクチンの効果と持続期間
MenBワクチンは、B群髄膜炎菌による侵襲性髄膜炎菌感染症の発症リスクを下げることが期待されます。いっぽうで、感染リスクが長く続く方では、追加接種(ブースター)を検討することがあります。
- 高リスクの方(無脾症、持続的補体欠損、補体阻害薬使用中、髄膜炎菌を扱う方など)は、初回シリーズ完了1年後に1回、その後もリスクが続く限り2〜3年ごとにブースターを検討します。
- 留学、入寮。施設要件がある方は、提出先が求める接種歴や有効期間に合わせてご案内します。
- 高リスクでない方では、定期的な追加接種を一律に行うわけではなく、必要性を個別に判断します。
副反応について
接種部位の痛み、発赤、腫れ、発熱、頭痛、だるさなどの副反応が報告されていますが、多くは1〜3日で改善します。 まれにアレルギー反応が起こることがありますので、強いアレルギー歴のある方は必ず事前にお申し出ください。
接種後すぐに受診(または救急受診)を検討する症状
髄膜炎菌感染症は進行が早いことが特徴です。ワクチンの有無にかかわらず、 高熱、意識がぼんやりする、強い頭痛、首の硬さ、紫色の発疹(紫斑)などがある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
未承認ワクチン(輸入ワクチン)についての重要事項
当院で扱うB群髄膜炎菌ワクチン(Bexsero)は、海外で使用実績のあるワクチンですが、日本国内では未承認のため、当院では輸入代行卸から入手し、適切に保管のうえ接種しています。
- 国内で承認されている髄膜炎菌ワクチンは、主に4価(A/C/W/Y)で、B群(MenB)を直接カバーする国内承認ワクチンはありません。
- 未承認医薬品等に該当するため、国内承認ワクチンと比べて公的救済制度の取扱いが異なる可能性があります。
- その代わりに、ワクチンの輸入代行業者による副作用被害補償制度により保証されております。
- 効果・副反応は海外の添付文書や研究データ等に基づきます。
B群髄膜炎菌ワクチン(MenB)の豆知識
B群髄膜炎菌は、のどの奥にすみつく細菌で、まれに血液や脳、脊髄の膜まで入り込み、髄膜炎や敗血症を起こすことがあります。
発症すると進行がとても早く、命に関わったり、手足の障害や聴力低下などの後遺症が残ることもあります。
そこで予防として使われるのがMenBワクチンです。
対象は、10代〜若年成人、寮生活、留学、合宿など人が密に集まる環境に入る方、医療やラボ関連で菌に触れる可能性のある方、免疫が下がる病気や治療のある方などが代表例です。
海外留学や国際大会で求められることもあります。
よくある質問にほかのワクチンと同時に打てますか?があります。
同時接種は可能ですが、注射する場所を分けます。
スケジュールが詰まっている受験生や社会人の方はまとめて計画すると負担が減ります。
また、近年の海外研究では、MenBワクチンで淋菌(りんきん)感染のリスクが下がる可能性が示唆されています。
ただし、性感染症(STI)対策の基本はコンドームの使用と定期検査です。
よくあるご質問
Q. MenBワクチンとは何ですか?
A. MenBワクチンは、B群髄膜炎菌による感染症を予防するためのワクチンです。A群・C群・W群・Y群を対象とするMenACWYワクチンとは別のワクチンです。
Q. どのような人が接種を検討した方がよいですか?
A. 留学、寮生活、集団生活、渡航、基礎疾患がある方などで接種が検討されます。特に、提出書類や入学要件、渡航先の推奨事項がある場合は、接種歴を確認したうえで判断することが大切です。
Q. 何回接種が必要ですか?
A. 一般的には、2回接種です。1回目と2回目は1か月以上あけて接種します。留学・渡航・寮生活などで接種を検討する方の多くは、この2回接種が基本になります。
Q. 接種間隔はどれくらいですか?
A. 2回目は、1回目から少なくとも1か月以上あけて接種します。提出先や主治医から別のスケジュールを指定されている場合は、その要件を優先します。
Q. 1回だけでも意味はありますか?
A. 1回目のあと一定の免疫応答は期待されますが、十分な予防効果を考えると、基本は2回接種が大切です。特に留学や集団生活の前に備える場合は、必要回数を完了することが望まれます。
Q. 2回目が遅れたら最初からやり直しですか?
A. 通常は、最初からやり直しにはなりません。かなり期間があいた場合でも、一般には続きとして2回目を接種します。ただし、学校・施設・渡航先の要件がある場合は、その条件に合わせて判断が必要です。
Q. どれくらいで効果が出ますか?
A. 接種後すぐに十分な防御が完成するわけではありません。一般には、接種後しばらくして免疫応答が立ち上がりますが、より安定した予防効果を考えるうえでは、必要回数を完了することが大切です。
Q. 他のワクチンと同時に打てますか?
A. 同時接種が可能な場合があります。MenACWYなど他のワクチンと同日に接種する場合は、通常は接種部位を分けて行います。体調や接種予定に応じてご案内します。
Q. 妊娠中や授乳中でも接種できますか?
A. 一般論として、妊娠中や授乳中のMenBワクチン接種は、曝露リスクや基礎疾患を踏まえて個別に検討されます。一方で、当院では妊娠中または授乳中の方へのMenBワクチン接種は行っておりません。接種をご希望の方は、主治医または専門医へご相談ください。
Q. 副反応はありますか?
A. 注射部位の痛み、腫れ、赤み、発熱、だるさ、頭痛、筋肉痛などがみられることがあります。多くは一時的ですが、症状が強い場合や長引く場合は医療機関へご相談ください。
Q. MenBワクチンで淋病(淋菌)も防げますか?
A. MenBワクチンと淋菌感染の関連については、海外研究で予防効果を示唆する報告がありますが、淋病予防を目的とした標準的なワクチンとして位置づけられているわけではありません。性感染症対策としては、コンドーム使用や定期検査が基本です。
Q. HIVがあると、MenBワクチンも必ず受けた方がよいですか?
A. HIVがあることだけでMenBワクチンが一律必須になるわけではありません。まずはMenACWYの適応や提出要件の確認が重要で、そのうえで留学、寮生活、基礎疾患、渡航先の状況などを踏まえてMenB接種を検討します。
Q. 補体阻害薬を使っている場合、MenBワクチンを打てば十分ですか?
A. 十分とは限りません。補体阻害薬を使用している方では、ワクチン接種後でも髄膜炎菌感染症のリスクが残ることがあります。MenBだけでなくMenACWY側の確認も必要になることがあるため、主治医と相談しながら判断することが大切です。
Q. MenBワクチンとMenACWYワクチンの両方が必要になることはありますか?
A. あります。MenBワクチンはB群、MenACWYワクチンはA群・C群・W群・Y群を対象とするため、学校・寮・留学・渡航先の要件や基礎疾患によっては、両方の接種が検討されます。まずは、提出先が求めているワクチンの種類を確認することが大切です。
※ 本ページは、公的機関の発表や海外の添付文書やガイダンス等を参考に、適宜更新しています。
(最新の知見に基づく最終更新日:2026年3月31日)

