性感染症(性病)の潜伏期間一覧
著者:院長 福地裕三(日本性感染症学会ガイドライン準拠)
性感染症(性病)のページで「潜伏期間」と書かれていても、実際には「いつ検査すればよいですか?」というご質問が多くあります。
そのため本ページでは、潜伏期間だけでなく、検査可能時期(ウインドウ期)もあわせてご案内しております。
一言でまとめると、潜伏期間=症状が出るまでの目安、検査可能時期=検査で感染を見つけやすくなるまでの目安です。これらは同じではありません。
先に結論
- 症状が出る時期と、検査で見つけやすい時期は異なります。
- 早い時期でも検査自体は可能なことがありますが、早すぎると陰性でも見逃し(偽陰性)の可能性があります。
- 迷った場合は、「最短」ではなく「推奨」の時期を目安にしてください。
- オーラルやアナルの接触がある場合は、のどや直腸の検査が必要になることがあります。
経過日数から大まかな目安を知りたい方へ
- 翌日〜1週間未満:クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどは検査自体は可能なことがありますが、推奨は2週以降です。
- 2週間前後:クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、赤痢アメーバなどの推奨時期の目安です。
- 4週間前後:梅毒、ヘルペス抗体、HPV などを考える目安になります。HIV も検査法によっては候補に入ります。
- 2〜3か月前後:B型肝炎、C型肝炎、梅毒の最終確認、HIV抗体検査などで意識したい時期です。
潜伏期間と検査可能時期の違い
潜伏期間とは
潜伏期間とは、感染してから症状が現れるまでの期間を指します。
ただし、性感染症では無症状のことも少なくありません。そのため、「症状が出ていない=感染していない」とは言い切れません。
検査可能時期(ウインドウ期)とは
検査可能時期とは、検査で感染を見つけやすくなるまでの期間のことです。
感染直後は、実際には感染していても、検査でまだ拾いにくい時期があります。この時期に受けると陰性でも見逃し(偽陰性)が起こりうるため、必要に応じて再検査を組み合わせます。
このページの見方
「最短」は、検査自体は可能な目安です。
「推奨」は、精度が安定しやすい目安です。
不安が強い場合は早めに初回検査を受けること自体は可能ですが、最短で受けた場合は、推奨時期での再検査もあわせてご検討ください。
性感染症ごとの潜伏期間と検査時期の目安
| 疾患 | 検査:推奨(精度が安定しやすい目安) | 検査:最短(検査自体は可能) | 潜伏期(症状の目安) |
|---|---|---|---|
| HIV | NAT(PCR):10〜33日が一つの目安 抗原抗体検査:18〜45日が一つの目安 抗体検査:23〜90日が一つの目安 |
13日以降〜(HIV PCR) 4週以降〜(HIV即日、抗原抗体の初回目安) |
1〜4週間程度 |
| 梅毒 | 4週以降〜(初回の目安) 3か月前後で最終確認も目安 |
4週以降〜 | 2〜4週間程度〜 |
| クラミジア | 2週以降〜 | 翌日以降〜 | 1〜3週間程度 |
| 淋病(淋菌) | 2週以降〜 | 翌日以降〜 | 2〜7日程度 |
| マイコプラズマ | 2週以降〜 | 翌日以降〜 | 1〜5週間程度 |
| ウレアプラズマ | 2週以降〜 | 翌日以降〜 | 1〜5週間程度 |
| ヘルペス | 症状がある場合:できるだけ早め 抗体検査:4週以降〜(より確実には3か月前後も目安) |
即日〜(水疱・潰瘍など症状がある場合) 抗体検査:4週以降〜 |
2〜10日程度 |
| カンジダ | 症状がある時(随時) | 翌日以降〜 | 1日〜数年程度(体調や環境でも起こります) |
| HPV | 4週以降〜(目的、採取部位で解釈が変わるため要相談) | 4週以降〜 | 3週間〜数年 |
| B型肝炎 | 35日以降〜(B型肝炎PCR) 2か月以降〜(B型肝炎即日) |
35日以降〜(B型肝炎PCR) 2か月以降〜(B型肝炎即日) |
2週間〜6か月程度 |
| C型肝炎 | 24日以降〜(C型肝炎PCR) 3か月以降〜(C型肝炎即日) |
24日以降〜(C型肝炎PCR) 3か月以降〜(C型肝炎即日) |
2週間〜6か月程度 |
| 赤痢アメーバ | 2週以降〜(より確実には4週以降〜も目安) | 2週以降〜 | 2〜4週間程度 |
- 早すぎる検査は、陰性でも見逃し(偽陰性)があり得ます。必要に応じて再検査をご検討ください。
- オーラルやアナルの接触がある場合は、尿や性器だけでなく、のどや直腸の検査が必要になることがあります。
- HIV、B型肝炎、C型肝炎は、検査法によって目安が異なります。迷った場合はご相談ください。
このページの使い方
1.「症状が出る時期」を知りたい方
潜伏期の列をご確認ください。
ただし、性感染症は無症状のこともあり、潜伏期を過ぎても症状が出ない場合があります。
2.「いつ検査すればよいか」を知りたい方
検査:推奨の列をまずご確認ください。
早めに初回検査を受けたい場合は最短の時期での検査も可能ですが、その場合は再検査もあわせて考える必要があります。
3.「昨日の性行為でも受けられますか?」という方
クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどは、翌日以降〜で検査自体は可能なことがあります。
ただし、推奨は2週以降〜であり、早期の陰性だけで完全に安心とは言えません。
症状がある場合は、待たずにご相談ください
潜伏期や検査時期の目安は大切ですが、症状がある場合は、表の時期だけで自己判断せずにご相談ください。
特に、排尿時痛、分泌物、陰部の水疱や潰瘍、強いのどの症状、発熱などがある場合は、早めの受診をおすすめします。
検査可能時期を詳しく知りたい方へ
初回検査、早すぎた場合のフォロー再検査、治療後の治癒確認検査まで含めて確認したい方は、下記ページもあわせてご覧ください。
このような方はご相談ください
- リスク行為のあと、何日後に検査すればよいか分からない方
- 早めに検査したが、再検査が必要か迷っている方
- オーラルやアナルの接触があり、検査部位が分からない方
- 陰性だったが、時期が早すぎなかったか不安な方
- 潜伏期間とウインドウ期の違いが分かりにくい方
よくあるご質問
Q.リスク行為のあと、いつ検査すればいいですか?
A.早い時期でも検査自体は可能なことがありますが、感染直後は陰性でも見逃し(偽陰性)が起こりえます。まずは推奨時期を目安にし、必要に応じて再検査を組み合わせることが大切です。
Q.潜伏期間とウインドウ期は違いますか?
A.はい、違います。潜伏期間は症状が出るまでの目安、ウインドウ期は検査で感染を見つけやすくなるまでの期間です。症状がなくても感染していることはあります。
Q.昨日の性行為でも検査は受けられますか?
A.クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどは翌日以降〜で検査自体は可能なことがあります。ただし、早すぎると陰性でも見逃しがありうるため、必要に応じて2週以降〜で再検査を検討します。
Q.オーラルやアナルがあった場合、どこを検査しますか?
A.尿や性器だけでなく、のどや直腸の検査が必要になることがあります。どの部位を調べるかは、行為内容に合わせて選びます。
Q.陰性なら完全に安心ですか?
A.いいえ。検査時期が早すぎる場合や、検体の部位が合っていない場合は、偽陰性になることがあります。心配が残る場合は、推奨時期での再検査が大切です。
Q.HIVはどの検査を、いつ受ければいいですか?
A.HIVは検査方法によって目安が異なります。一般的に、NAT(PCR)は10〜33日、抗原抗体検査は18〜45日、抗体検査は23〜90日が一つの目安です。経過日数と検査の目的に応じて選びます。
Q.梅毒は4週で十分ですか?
A.4週以降は初回の目安になりますが、早い時期の陰性だけで完全に否定できないことがあります。不安が強い場合や確認をしっかり行いたい場合は、3か月前後での再検査も一つの目安です。
Q.治療後の治癒確認(再検査)はいつ行えばいいですか?
A.早すぎると陽性反応が残って見えることがあり、時期の見極めが重要です。検査の種類や感染部位によって目安が異なるため、医師の案内に従ってください。
Q.どの検査を受ければいいか分からないときはどうすればいいですか?
A.行為内容、経過日数、症状の有無によって必要な検査項目や部位は変わります。迷った場合は、来院時に相談して決めるのがおすすめです。
Q.潜伏期間中でも人にうつしますか?
A.はい。潜伏期間中で症状が出ていない場合でも、他者に感染させる可能性があります。症状の有無だけで判断せず、適切な時期に検査を受けることが大切です。
(最新の知見に基づく最終更新日:2026年4月9日)

