「いきなりエイズ」HIV感染症にならないために
著者:院長 福地裕三
「いきなりエイズ」とは
「いきなりエイズ」とは、HIVに感染していながらそのことに気づかずに過ごし、エイズを発症してから初めてHIV感染が判明するケースを指します。
そのため、性的に活動的な方やリスクのある行為があった場合には、定期的にHIV検査を受け、エイズを発症する前に感染の有無を確認することが大切です。
現在、HIVの治療薬は日々進歩しており、かつてのように致命的な感染症ではなくなっています。
早期に発見し、早期に治療を開始することで、非感染者とほぼ変わらない生存率を保つことが可能です。
なぜ「いきなりエイズ」になってしまうのか
HIVに感染しても、初期症状が現れないことが多く、その後も数年から十数年にわたって無症状のままで経過することが多いためです。
また、症状がないことで検査を受けるきっかけを逃し、検査の機会を失ってしまうことも一因です。
その結果、免疫システムに異常をきたし、エイズ特有の症状や感染症が現れた段階で初めてエイズと診断され、HIV感染が判明するケースがあります。
こうした経過をたどることで、「いきなりエイズ」として発覚することになるのです。
「いきなりエイズ」にならないために
HIV感染の初期症状を感じる方もいますが、風邪のような症状や体調不良と似ているため、症状だけでHIV感染を疑うことは非常に困難です。
そのため、感染のリスクがあった場合には、HIV検査を受けることが最も確実な診断方法となります。
感染のリスクから4週間以上が経過すると、高い精度で結果を得ることができます。
また、3か月以上経過していれば、HIV感染を確実に否定することが可能です。
より早期の検査を希望する場合は、HIVのNAT検査(PCR法)であれば、感染から13日以上経過すれば検査が可能です。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の透過電子顕微鏡画像
情報元:CDC
まとめ
HIVも他の病気と同様に、早期発見や早期治療が重要です。
HIV感染を早期に把握することで、エイズを発症する前に治療によってHIVをコントロールすることが可能です。
つまり、エイズを発症してから治療を始めるのではなく、発症を予防するために早期に治療を開始することができます。
感染のリスクがある方は、定期的にHIV検査を受けることをおすすめします。
HIVのよくある質問(FAQ)
Q1. 「いきなりエイズ」になりますか?
A. 多くはすぐにエイズにはなりません。ただし自覚しにくく、気づかないうちに時間が過ぎることがあります。検査で確認しましょう。
Q2. 風邪みたいな症状が出ました。HIVですか?
A. 似た症状が出ることはありますが、症状だけで判定は不可。検査をしてください。
Q3. いつ検査を受ければよいですか?
A. 即日検査(第4世代検査)は4週間以降が目安。早期確認にはNATも検討します。
Q4. 早すぎる検査で陰性でした。安心してよい?
A. 早期は見逃しがあります。期間をあけて再検査を。
Q5. 口での性行為でも感染しますか?
A. リスクはゼロではありません。 口内炎や出血があると上がります。
Q6. コンドームを途中で外しました。どうする?
A. PEPが必要か早急に相談してください(72時間以内が目安)。
Q7. PrEPは誰でも使えますか?
A. 医師の診察が必要です。
Q8. 陽性だと保険や仕事に影響しますか?
A. いまは治療でコントロール可能。仕事や学業の継続は多くの場合可能です。
Q9. 妊娠や出産は可能?
A. 適切な管理で母子感染の予防が可能です。早めに相談しましょう。
Q10. どこで結果を聞けますか?
A. 来院やオンラインなどご希望に合わせて。
Q11. 他の性病も同時に調べたほうがいい?
A. はい。同時感染があると見逃しや再感染の原因になります。
Q12. どのくらいの頻度で検査すべき?
A. リスクのある行為があったときや、パートナーが複数いる方は定期的を推奨。
Q13. 予防接種はありますか?
A. HIVにはワクチンがありません。 代わりにPrEPやコンドームが重要です。
Q14. お酒や薬との飲み合わせは?(PrEP/PEP)
A. 併用薬により注意が必要な場合がほとんどありません。
Q15. 匿名で受けられますか?
A. 可能な範囲でプライバシーに配慮します。詳細はお問い合わせください。
Q16. 未成年でも受診できますか?
A. 原則受診は可能ですが、保護者の同意が必要なことがあります。事前にご相談を。
Q17. 結果が陽性だったら誰かに知られますか?
A. 医療機関は守秘義務があります。安心してご相談ください。
Q18. 海外でリスクがありました。帰国後の流れは?
A. 時期に合わせた検査計画を立てます。早期であればNATやPEPを検討します。
Q19. U=Uって何?
A. 適切な治療でウイルスが検出されない状態になれば、性的に相手へうつさないという国際的な合意です。


